20代の童貞、W不倫、Tinderで初体験は当たり前? 数字で見る日本人のセックス事情
2017/08/23(水)
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相模ゴム工業調べ(2013年)

日本のセックスにまつわる数字1

20代男性の40.6%が童貞

人間、生まれたときは必ず童貞ですし、どんな人もかつては童貞でした。なので、別に童貞は悪いことでも恥ずかしいことでもないですし、人の寿命や結婚年齢の上昇を考えれば、徐々に初体験の年齢が上がるというのはそれほど不思議ではありません。

また、よく、セックスへの興味の減退を少子化と結びつけて批判する論調がありますが、実際に直接的な起因関係があるかというとそこは微妙です。ヤリチンが必ずしも子どもを作るわけではなく、避妊ばっちりで毎晩セックスを楽しむ人より、子作りのために渋々ナマでセックスする人の方が子どもを産み育てる可能性は高い。

という建前はありますが、私は基本的には10代、遅くとも20代前半までには性経験をした方がいいと考えており、2000年代に色々な統計*で上昇傾向にある童貞率の増加はやや懸念しています。別にヘテロセクシャルである必要はもちろんないし、挿入よりもオーラルセックスが好き、といった場合も何の問題もないと思いますが、そういったものを含めた広義のセックスはほかのもので代替するのが難しいからです。

裸という無防備な姿で、血縁関係でも何でもない他人と、密室で二人きりになるというのは実はとっても危なっかしい行為です。それに、親にすら見せたことのないような自分の身体の部位や表情を見せることになります。相手に裏切られたり軽蔑されたりしないという深い信頼関係がないと不可能ですから、必然的に人を見る目を養ったり、人に信頼されるというのは本来的にどういった状態なのかを知ることになるのです。

また、よく「幻想が壊れる」といった言い方をしますが、社会では学歴や洋服のセンス、お金などで武装した姿の人間が裸になると、色々と自信を失う反面、相手もいい意味でグロテスクで無力な存在であると認識できるようになります。もちろん、最初から何もかも完璧にうまくはいかないですが、それもまた、自分の頑張りや努力と結果は必ずしも一致しないという当たり前のことを受け入れる練習になるのではないでしょうか。

  • *厚生労働省が実施している「出生動向基本調査」の調査では、2005年から2015年にかけて、18-19歳の童貞率が12.1%、20-24歳では13.4%、25-29歳では8.5%上昇。

Text: Suzumi Suzuki Photo: Aflo、Getty Images

  • 鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)、『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)など。2017年8月8日には新著『おじさんメモリアル』(扶桑社)を発売。また、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が絶賛上映中。
    Twitter:@Suzumixxx
    http://lineblog.me/suzukisuzumi/

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