サバイバル術8
後ろめたさを恥じるべからず
隠しごとがバレてしまうのは気まずいものだし、隠しごとをしていた、という事実自体が気恥ずかしいものです。ただ、どんなに品行方正な人であっても、あまり人に知られたくない過去や経験というのはあるし、裏の顔があってもおかしくありません。
秘密を暴露された直後は、恥ずかしくて外も歩けない、嘘をついていた人に対して申し訳ない、という気持ちになるかもしれませんが、過度に気に病んだところで、知られてしまった事実は巻き戻せません。しかし、そういったことは誰にでも起こりうる、という考えてみれば当たり前のことを意識するだけで、随分と気が晴れるし、気が晴れないまでも、人の噂もなんとやら、次第に周囲のショックや過剰な反応は薄れてきます。
それまで嘘をついていたり、嘘をつかないまでも言っていないことがあった相手には、どうして自分がその事実を言えなかったのか、を正直に伝えるのが、最も手っ取り早い関係改善の方法です。「軽蔑されると思って怖かった」「できれば消したい過去だった」「あなたにだけは嫌われたくなかった」……。そんなふうに打ち明けられて不快に思う人は少ないはずです。
Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images
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鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)、『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)など。最新の著書は『オンナの値段』(講談社)。
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