炎上サバイバル術7
笑うべき。でも笑って許してはくれない
以前の山本モナさんやベッキーさん、乙武洋匡さんなど、不倫報道のあとでもきちんと復帰して活躍されている方は、報道から一定期間を過ぎたあとに、とてもウィットに飛んだジョークで、自分の失敗を笑い飛ばすようなところがあります。また、「後悔の真っ最中」という謎かけの謝罪会見がとても愉快だった円楽師匠を嫌な気分で見ている人はそうそういないでしょう。そういった、少しブラックな笑いは見ていて楽しいし、痛快ですから、できれば自分のなかで心の傷が完全に癒えてなくとも、ちょっとした冗談にして話せるくらいになっていると、周囲も気を使わずに自然に接することができます。
しかし、それはあくまで、自分の失敗を反省して自分の愚かさを笑う、という姿勢があってこそです。不快な気分をしている人、あるいは怒っている人に対して、笑いにして許してもらおうと考えると、ただの空気が読めない、反省の色もないように見られるのがオチですから、周囲がどのような空気で、謝罪を求めているのか、すでに許してむしろ積極的にネタにしたがっているのかを読み取る冷静さは必要かもしれません。
Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images
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鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)、『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)、『おじさんメモリアル』(扶桑社)など。最新の著書は『オンナの値段』(講談社)。
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