『レディ・バード』がただの自伝と思われがち
サクラメントのカトリック系女子校出身のグレタが、同じ境遇のヒロインを描いたことで、自伝的映画と思われがちな『レディ・バード』。でも実はグレタは、一匹オオカミのようで反抗的なヒロインのクリスティン(自称レディ・バード)とは真逆の性格だったのだとか。「私は髪を赤く染めたこともなければ、周りに自分をあだ名で呼ぶように指示したこともない。ルールを守る、お人よしの優等生タイプだったの」。脚本を書き始めたときは、自分の体験に近かったのだが、気づくと真逆のキャラクターを生み出していたのだそう。だから、同作を自伝映画と位置付けられるのが嫌だというグレタ。「とても時間をかけて作り上げた映画だから、自然にできあがった作品だと思われたくないの。100パーセント、想像力の賜物なのよ」。自伝なら書けるのは1本だけれど、創作ならその数は無限。これからの長いキャリアにおいて、またオスカー監督賞に絡む可能性は十分あるのだ。
Text: Yuki Machida Photo: Getty Images, Universal Pictures