「マンブルコアのミューズ」の呪縛
これまでは、女優としてのイメージが強かったグレタ。2006年に女優デビューしたのち、『ハンナだけど、生きていく!』『フランシス・ハ』『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』などを経て、ここ数年も『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『20センチュリー・ウーマン』といったメジャー作品に出演したばかり。そんなグレタには、「マンブルコア」や「ミューズ」という枕詞がついてまわっていた。前者は、低予算&アマチュア俳優&不明瞭なセリフ回しで、若者の日常を自然に描こうとするインディペンデント映画の手法。後者は、その手法を用いる男性フィルムメイカーたちとのコラボが多かったことからだ。そうした枕詞を快く思っていないグレタだが、彼女をいまだ“インディ界の申し子女優”のイメージで見ているアカデミー会員はいるだろう。でも、微妙な立ち位置の俳優から、デキる実力派監督へとあっぱれ転身したベン・アフレックのように、グレタがアカデミー会員たちをあっと言わせる日は来るはず。女優としてカメラの前にいるときでも、照明や音声、編集、撮影というビロウ・ザ・ラインの勉強を欠かさないというグレタ。今後もいい作品を作り続けて!
Text: Yuki Machida Photo: Getty Images, Universal Pictures