特集 2014/11/21(金)
『エル・ジャポン』1月号連動企画

エル・エディターが選ぶ! 今年のMYベストBOOK

今年も残すところあと1カ月。『エル・ジャポン』1月号(11月28日発売)の特集「私を変える本が読みたい」と連動した特別企画として、エル・エディターたちが1年を振り返って、“今年読んだ本のベスト3”を選出。洋書から小説から漫画まで、それぞれの得意分野でセレクトした渾身のベストBOOK、冬休みに楽しむための本選びの参考にどうぞ!

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『エル・ジャポン』フィーチャーエディターK

選出テーマ/スリルと危うさがたまらない“妻の秘密”  
 
1位/『私の欲しいものリスト』グレゴワール・ドラクール
フランスの地方都市で手芸店を営む47歳の平凡なジョスリーヌは、たまたま買った宝くじが当選、1800万ユーロもの大金を手にするのですが、誰にも打ち明けることができません。夫に話したら彼が欲しがっていたポルシェを買って若い女といなくなってしまうのではないか、そもそも私が欲しいものはなんなのか、幸せってなんなのか。そんなことを毎日考えながらも手芸店のほうは思いがけず大繁盛。しかし夫がいなくなり……。夫がもう自分のことを女として見ていないなど、若さを失った現実と折り合いながら、小さな幸せを見つけようとするジョスリーヌの心理描写には、「女の人生ってなんだろう?」と静かにひたひたと胸に迫ってくるものがあります。
 
2位/『穴』小山田浩子
今年、第150回芥川賞を受賞した作品。仕事を辞め、夫の田舎に移り住むことになった主人公の夏。コンビニやスーパーに行くのもひと苦労の田舎町。専業主婦になった毎日は無為に異様に早く過ぎていく。そんなある日、外を歩いていると犬でも猫でも狸でもない黒い獣を発見、後をつけていくと突然穴に落ちる。この日から謎の黒い獣や、夫の家族がみなで隠している様子の義兄との邂逅が始まり……。現実なのか非現実なのか、日常なのか妄想なのか、夏の身に起こった不思議でちょっと不気味な出来事。その幻想世界があとをひき、クセになります。
 
3位/『マリーについての本当の話』ジャン=フィリップ・トゥーサン
妻ではないですが、長い間付き合い、別れ、そして今も翻弄される主人公「ぼく」が語るマリーの話。「マリーとぼくは同時にセックスしていたのだった。ただし別々の相手とだが」。刺激的なフレーズが冒頭を飾る。「ぼく」は大して思い入れのない女とセックスを終えた深夜、数カ月ぶりにマリーからのただならぬ電話を受ける。「ぼく」が駆けつけると、マリーの新しい男ジャン=クリストフ・ド・Gがマリーとの情事後に倒れ、もはや死の寸前で救急車で運ばれるところだった。現在と過去のマリーのファムファタルぶりを「ぼく」が回想しながら物語は進むものの、肝心のマリーの本心は見えぬまま。まさにこれぞミステリアスなフランス女といったところ。映画的情景にあふれています。

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