男らしさって何? なぜ日本社会に“ジェンダーレス男子”は必要なのか
2017/05/30(火)
> <

6/8

お気に入りのコスメを紹介する投稿も多いこんどうさん courtesy of kondoyohdi via Instagram 

ジェンダーレス男子誕生の背景解体

コスメや服は女子と共有。性差のフラット化

今回集まったミレ二アル世代を中心に人気の3人はたまたま女兄弟がいることも共通。関係性はそれぞれ違うが、「姉のメイク道具を借りる」(Yapp!さん)など、女性との距離が近いのは、彼らの感性を磨くのには良い環境だったとも言えるかもしれない。そしてコスメやファッションに明るいジェンダーレス男子の周囲には当然、恋愛関係ではなくとも女性が集まる。

「親友は女の子」(こんどうさん)「元々自然と女の子との距離は近いし、ゲイの友達も多い」(UsukeDevilさん)という彼らに、男同士でのみ群をなし、女性を狩るといったかつてのマッチョイズムの影はない。かといって身体は男性で中身が女性というトランスジェンダーや、ゲイカルチャー、ドラッグクイーンとも違う。身体は男性、中身も男性、ファッションのみが男女の壁を悠々と超える男子なのだ。

UsukeDevilさん courtesy of screamer29 via Twitter

彼らと時を同じくして、あるいは彼らが登場する少し前から、マスメディアにはそれまであまりスポットライトが当たらなかった様々な趣味嗜好の人が頻繁に登場するようになった。ゲイ、ニューハーフ、女装家、男装アイドル、レズビアンカップル、バイセクシュアルのコメディアン、トランスジェンダー……。十分とはいえないまでも、自由に性を表現することが少しずつ受け入れられ出した時代は、まさにジェンダー(性差)を無効にした彼らのファッションが抵抗なく馴染む環境を整えつつあるのかもしれない。

text: Suzumi Suzuki

  • 鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。2017年5月25日には、新著『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)を発売。7月1日には、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が全国順次ロードショー。
    Twitter:@Suzumixxx
    http://lineblog.me/suzukisuzumi/

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へ特集一覧へ次の記事へ

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト