男らしさって何? なぜ日本社会に“ジェンダーレス男子”は必要なのか
2017/05/30(火)
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こんどうようぢさんのTwitterフォロワー数は約26万。ファッションスタイルや自撮り、親とのLINEのやりとり、自作料理、肌荒れ(!?)の報告まで赤裸々で自由な投稿が人気。

ジェンダーレス男子誕生の背景解体

クラスで浮いた存在が一躍SNS界のスターへ

話を聞かせてくれた3人の共通点は、プロのモデルやタレントとして活動する前に、ブログやSNSで自らのファッションやメイクを発信し、人気を得ていたこと。こんどうさんは工業高校の出身。「同じ学校に似たようなファッションを好む友達はいなかったけれど、ブログがきっかけでファッション好きの友達と繋がり、つるんで遊ぶようになった」。その後、高校時代から更新を続けていたブログが話題となり、モデル事務所の目にも止まったのが上京のきっかけ。

インスタグラムで22万フォロワーを持つUsukeDevilさんは、ファッション性にこだわったモード色強めの投稿で韓国からも注目を浴びる存在に。

UsukeDevilさんの名前が世間に知られたのも、現在では20万人のフォロワーを誇るインスタグラムでの発信。「レディースの服を着たり、自分がいいと思う奇抜なファッションは、当初周囲では明らかに浮いていて間違っているのかもしれないと思うこともあった」という。しかし、ブログなどでファッションを発信している人たちを楽しそうだなと思ったのがきっかけで、試しに自分も発信をしてみると、そのモードなファッションスタイルは海外を中心に話題を呼んだ。

取材した3人のなかで最年少のYapp!さんは、カメラを使いにも定評あり。現在は、「サンコイチ」としてYouTuberの活動も。

そして、こんどうさんやUsukeDevilさんのSNS発信を見て影響を受けた世代にYapp!さんがいる。彼らのフォロワーであった彼も後にTwitterでメイクした自撮りやHOW TO動画などを載せ、そこにまた大量のフォロワーがつく。

ひと昔前であったら大きな流行・大きなジャンルに吸収されない個性的な人は孤立するままで、ひとつの流れを作り出すのは難しかった。それぞれが「クラスでは浮いた存在」(UsukeDevilさん)で、学校内では賛同者がいない奇抜な好みの者が、お互いに繋がり、刺激しあってひとつの流行を生み出す。これを可能にしたという意味でSNSの功績は限りなく大きい。

text: Suzumi Suzuki

  • 鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。2017年5月25日には、新著『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)を発売。7月1日には、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が全国順次ロードショー。
    Twitter:@Suzumixxx
    http://lineblog.me/suzukisuzumi/

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