若い人にこそ希望がある
ELLE: 生活が不安定だと、人は不寛容になりがちです。でもあなたは常にオープンでいるように見えました。特にいま、トランプ氏が寛容にも大統領に選ばれたこの状況では、不寛容が蔓延していますが、ファッションやアートが貢献できることはあるのでしょうか?
MARK: そうだね。例えば、「オープニングセレモニー」で魅力的な女性モデルを撮っていると思ったら実はトランスジェンダーだったということがあった。いやもしかしたらドラァグだったかもしれないし、異性装者だったのかもしれないし、単純に男性だったのかもしれない(実際にはアンドレヤ・ペジックだった)。今のファッション界はそういうのが当たり前なんだ。今は若い人たちこそが寛容なんだって思い知らされるよ。
逆に年老いている人たちが柔軟性を無くしている。若い人たちがこんなに寛容なんだって知ると、まだ希望はあるんだと感じられるよね。この質問をしてくれてありがとう、おかげでより希望的な気分になれたよ。若い人たちがトランプよりもはるかに寛容であることは希望だ。本当にありがとう。ようやく今気分が明るくなれたよ。そういった若い人たちやアーティスト、映画を作る人たちが感動する作品を沢山作ることで、できることならアメリカの一般の人々を助けることになってほしいと思うよ。
【取材後記】
ホームレス生活で心身ともに疲れ切ったときは相当辛かったそうで、陽気に進んでいたインタビュー中、自殺が頭によぎった経験を語る瞬間は30秒近く言葉を詰まらせた姿が印象的。「この人が普通の仕事に就けていたらこんな辛い思いをしなくても済んだのかも」とうっかり憐れんでしまったら大間違い! 「仕事のストレスを解消するためにわざわざ山に登ってヨガしないといけないような生活のほうが辛いでしょ」とバッサリ。「普通の仕事をして過労死するのと、不安定な仕事のせいで自殺が頭によぎるのとどちらも大して変わらないのなら自由なほうを選ぶ」と言い切ったマークのおかげでちょっと勇気をもらった、そんな取材だった。
Interview & Text : Ryoko Tsukada
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マーク・レイは絶賛お仕事募集中とのこと。是非アクセスを。
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『ホームレス ニューヨークと寝た男』
2017年1月28日(土)公開
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