自殺も考えた結果ブレイクスルー
ELLE: 映画のなかで、一度自殺まで考えたと語るシーンがあります。そうなってもおかしくなかった状況だったかもしれません。屋上生活を送る上で、何があなたを正気に保たせたのでしょうか?
MARK: (しばらく無言)……ちょっとその話になると感情がこみあげてくるものがあるんだ。すまないね。
地下鉄でホームの縁にたったときに、「ここで事故があったら自殺になるのかな」なんて考えてしまうような本当に暗い時期もあった。だけど作品のなかで言ったように、実際に行動に移そうと思ったことはなかった。私は自分の家族と友人を愛しすぎていたからね。
でも、私が思うにそういったネガティブな気持ち自体が私を生き延びさせてくれたようにも思うんだ。「ここ(屋上)が自分に相応しい場所だ」と自分の状況を受け入れることで気持ちのブレイクスルーが起きた。屋上生活が私の人格を大きく変えるようなことは無かったよ。
MARK: これは成功のレシピではなく、サバイバルのレシピだけれど、私はすべてを諦めて未来に対して楽天的に考えるようにしただけなんだ。私はガールフレンドを持つことも、キャリアも、健全なセックスライフも、自分のものではないと諦めた。人生に家なんてそれほど必要ないだろ?
屋上生活は確かにきついけど、自分にはそれほど多くの物が必要ないんじゃないかと気が付いたことで、より自分に満足して、オープンな人間になれたし、より幸せになれた。今でもそのことは自分自身を助けてくれている。よく私について友達がお前の人生はめちゃくちゃだと文句を言っていたけれど、今じゃその友達が何年も同じ悩みで文句を言っているのを見ていると、「お前こそ屋上で何年か過ごしてみたらどうだ」と言ってやるんだ。ほら、ヨギーが山の頂上でやるリトリートみたいにね。悟りを得る為には山になんて登る必要はない。階段を上がって屋根の上に何年か座ってみたらいいんだ。
Interview & Text : Ryoko Tsukada
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『ホームレス ニューヨークと寝た男』
2017年1月28日(土)公開
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