辞めたいときにその仕事、辞められますか?
ELLE: 映画では演技なのか、素のあなたなのか、分かりにくいところがありました。カメラの前にいることがあなたにとって自然なのでしょうか?
MARK: 撮影自体はいろいろな経験が混ざったものだったよ。もちろん私は長年カメラの前で働いてきたし、俳優もやっている。(監督の)トムはいい友達だから、間違ってもいい。一緒に働いていてそんな安心感があった。だから、余計にカメラの前で自由でいられたよ。この映画に込めた私自身の哲学は、出来得る限り自分に嘘偽りなく、正直に、オープンであること。それこそが本当にユニークで特別なものを生み出すものと信じていたからね。私の人生は少々過激だったけど、作品がその過激な部分よりも、他の人皆と共通する部分によりフォーカスしてくれたのが嬉しかった。
MARK: 映画を見た人の中には「この男は毎日変な仕事をしながら生き抜いている」と思う人もいるかもね。でもこの作品で扱われているテーマは皆に当てはまるものなんだ。例えば、ライターやシェフ、経理、教師などの低収入な仕事に就いていて、支払いから支払いに追われてギリギリの生活をしている。そんな人々がある日突然、雑誌が潰れた、レストランが潰れたら、どうやって生きていけばいいのか? この映画はそんな人たちのうち、ちょっと特別な答えを見せているだけなんだ。
実際、ふつうの人だって「こんな仕事にはもう我慢できない!」と怒りでいっぱいで、「この仕事を辞められたらどんなにいいか」と毎日思っている可能性は高い。私はそうやって仕事を辞めて、安全な暮らしを失ったけれど、その代わりに大きな自由を得る事ができた。自由を得るためなら屋上生活くらいなんてことない。喜んで犠牲を払うよ。
みんな定職に就けとかとやかく言うけれど、それは例えばドラッグ中毒者にアドバイスするようなものだ。何かに精神的に依存してしまったら、人はそうそう簡単には変われない。
一番言いたいのは、この映画を見て、私に同情なんてしてくれるな、ということだ。映画を見た人は私にアドバイスできると思うかもしれないけれど、それはセールスマンが言う言葉と同じで全く意味がない。自分の人生に満足して幸せになれなんていう人もいるけど、そこに至るまでの王道なんてあるのかな?
Interview & Text : Ryoko Tsukada
-
マーク・レイは絶賛お仕事募集中とのこと。是非アクセスを。
ホームページ/ http://www.markreay.net/
-
『ホームレス ニューヨークと寝た男』
2017年1月28日(土)公開
公式HP/ http://homme-less.jp/
公式Facebook @HomeeLess.jp
公式twitter @Hommeless_movie