ホームレスモデルが手にした「仕事を辞められる自由」
2017/01/19(木)
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歩く場所と方向を指示しただけで撮影内容を判断したプロの動きに一同なんだか納得。

Photo : Wataru Yoneda

辞めたいときにその仕事、辞められますか?

ELLE: 映画では演技なのか、素のあなたなのか、分かりにくいところがありました。カメラの前にいることがあなたにとって自然なのでしょうか?
 
MARK: 撮影自体はいろいろな経験が混ざったものだったよ。もちろん私は長年カメラの前で働いてきたし、俳優もやっている。(監督の)トムはいい友達だから、間違ってもいい。一緒に働いていてそんな安心感があった。だから、余計にカメラの前で自由でいられたよ。この映画に込めた私自身の哲学は、出来得る限り自分に嘘偽りなく、正直に、オープンであること。それこそが本当にユニークで特別なものを生み出すものと信じていたからね。私の人生は少々過激だったけど、作品がその過激な部分よりも、他の人皆と共通する部分によりフォーカスしてくれたのが嬉しかった。
 

作品の中でたっぷり見られる屋上の寝床。

(c)2014 Schatzi ProductionsFilmhaus Films. All rights reserved

MARK: 映画を見た人の中には「この男は毎日変な仕事をしながら生き抜いている」と思う人もいるかもね。でもこの作品で扱われているテーマは皆に当てはまるものなんだ。例えば、ライターやシェフ、経理、教師などの低収入な仕事に就いていて、支払いから支払いに追われてギリギリの生活をしている。そんな人々がある日突然、雑誌が潰れた、レストランが潰れたら、どうやって生きていけばいいのか? この映画はそんな人たちのうち、ちょっと特別な答えを見せているだけなんだ。

実際、ふつうの人だって「こんな仕事にはもう我慢できない!」と怒りでいっぱいで、「この仕事を辞められたらどんなにいいか」と毎日思っている可能性は高い。私はそうやって仕事を辞めて、安全な暮らしを失ったけれど、その代わりに大きな自由を得る事ができた。自由を得るためなら屋上生活くらいなんてことない。喜んで犠牲を払うよ。
みんな定職に就けとかとやかく言うけれど、それは例えばドラッグ中毒者にアドバイスするようなものだ。何かに精神的に依存してしまったら、人はそうそう簡単には変われない。
一番言いたいのは、この映画を見て、私に同情なんてしてくれるな、ということだ。映画を見た人は私にアドバイスできると思うかもしれないけれど、それはセールスマンが言う言葉と同じで全く意味がない。自分の人生に満足して幸せになれなんていう人もいるけど、そこに至るまでの王道なんてあるのかな?

Interview & Text : Ryoko Tsukada

  • マーク・レイは絶賛お仕事募集中とのこと。是非アクセスを。

    ホームページ/ http://www.markreay.net/

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