ホームレスモデルが手にした「仕事を辞められる自由」
2017/01/19(木)
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Photo : Getty Images

男性モデルは2000年時と比べて半分のギャラに

ELLE: モデル業界における非常に大きな男女間賃金格差(女性のほうがはるかに高額)についてどう考えますか?
 
MARK: 業界にとっては当たり前のことだ、特に異論はないよ。化粧品を買うのも女性。美しいロングヘアをキープするために特別なシャンプーを買うのも女性。男なんて全身同じ石鹸でいいんだからね。ファッション誌を見てみれば、女性が3~400人いたとすれば男性は3~4人くらいだ。モデル業界にしたって、3~4%のモデルだけが大金を稼いでいて、他は店で空き瓶を拾わないといけないくらいの生活。それに特にヨーロッパではモデルに対する支払いが大変に悪い。今だと2000年の時の支払額の半分くらいしかギャラが出ない。ファッション業界は毎年沢山の有名な女性モデルを作り出すけど、男性モデルと言われてこれと言って思い当たる節もない。ファッション業界特有の性質なんだと理解しているよ。

監督のトーマス・ヴィルテンゾーンと。

Courtesy of 『Homme Less』 via Official Instagram

ELLE: あなたは自分自身のことを「ホームレスではない」と言っていますよね。実際の「ホームレス」である人々とあなたとの違いは何でしょうか?
 
MARK: 自分自身で拒否したことかな。「ホームレス」という非常に重い、ネガティブな言葉で自分をカテゴライズしたくなかった。そのネガティブな言葉で自分の心のありようを左右されたくなかった。
それに実際にはほとんど気にしたこともなかった。自由も能力もあったし、毎週仕事にいかなきゃと無理に頑張る必要もなかったしね。
2008年、屋上生活を始めたころはリーマンショックで経済が悪化し始めて、ニューヨーカーの半分以上が当時職を失うか家を失うかで悩んでいたんじゃないかな。私はもう既にそんな状況を乗り越えてきたし、自分自身に対して答えも出ていた。だからストレスもなかったよ。
実際、屋上生活にはある種の冒険的な部分もあるんだ。ひどい天候の時、朝起きて、ああ、自分はこんな悪天候の中でもちゃんと眠れて、生き延びたんだと思うんだ。ある種の達成感だよね。普通の人は朝起きて「昨日ちゃんと眠れて起きられてよかった」なんて思わないでしょう? 屋根の下で寝ているんだから。私にとっては、本当にそんな基本的な事でさえ、喜びに感じられるんだ。

Interview & Text : Ryoko Tsukada

  • マーク・レイは絶賛お仕事募集中とのこと。是非アクセスを。

    ホームページ/ http://www.markreay.net/

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