#ストレート・アライズと #安全ピンと #カラーパープル
Brexitの後にならって、アメリカ国民も「安全ピン」を身にまとうようになった。これはBrexit直後にイギリスで始まったもので、「安全ピンを身に着ける」→「私は安全な人ですよ。移民にもマイノリティにも味方します。差別に対するどんな力にも屈しません。」という意志を示すものだ。イギリスでのブームがアメリカに飛び火したのは「アメリカが全世界」だと信じているアメリカ人多勢を鑑みれば非常に稀な例だが、逆にそこまで状況が差し迫っていることを示しているのかもしれない。
LGBTQのアドヴォカシー・マガジン、『アティチュード』誌が選んだ今年のメン・オブ・ジ・イヤーに選ばれたウェントワース・ミラーが現状についてこう語っている。
普通の映画会社の重役たちがゲイの人々を嫌っているからオープンリー・ゲイの人々を起用しないとは僕は考えない。ハリウッドはビジネスの場だ。企業なんだ。だから収益が全てなんだ。だからもし、自分が重役で、企業の投資家たちを満足させようとして、いい結果を出すと保証するためには、自分の暮らしの安定も確保したいし、自分の映画の主演にストレートの俳優かオープンリー・ゲイの俳優を選ぶかとしたら、僕は間違いなくストレートの俳優を選ぶよ。映画に集まる人たちを遠ざけるリスクはおかしたくないからね。」
ゲイ疑惑→カムアウト→ボディイメージ(太った姿)がネットミーム化されて精神的危機に陥る→プリズン・ブレイクのカムバックという遍歴を重ねたウェントワース・ミラーにとっても、まだまだアメリカは危機感でいっぱいのようだ。オープンリー・ゲイの彼自身が自らの生活の安定の為にこういう決断をすると公にしているということは、一般の、ストレートの人ももしかしたらこういった決断を暗に迫られる日が来るということなのかもしれない。
ストレート・アライズのシンボルカラーのパープル。敗戦演説でヒラリーがまとった民主党(青)と共和党(赤)の融和を促すパープルラペルのついたスーツ。そして人々が付け始めた安全ピン。
単なる「私はリベラルで理解のある人間なのですよ」と表明するファッションやトレンド、という意味以上に、心の中にパープルを、理解無き差別からの独立を示す精神を安全ピン無しでも自由に示すことができ、そして行動に移すことができるキャパシティを持つことが、今もっとも私たち自身を守るアティチュードなのかもしれない。
Text : Ryoko Tsukada