“実は観てないんです”な理由①
下ネタが苦手。(40代Nさん)
SATCは、もちろん下ネタ炸裂のときもありますが、下ネタだけのドラマかと言えば、そうではありません。
例えばシーズン1での主人公キャリーは、初回こそ(初回だから?)過激な行動に出るものの、一目惚れしたミスター・ビッグを相手にやっていることは、「自分が唯一のデート相手ではないから付き合えない」と言ったり、ミスター・ビッグが自分を友だちに紹介してくれないと悩んだり、ビッグが好きすぎて友だちと疎遠になったり……と「セックスに奔放な独身女性」とは名ばかりの、普通すぎるほど普通の女子です。
もちろんセックスはこのドラマの大きな要素を占めてはいますが、それは必ずしも「下ネタ」に分類されるものだとは、私は思っていません。絶頂のバブル期であるNYの90年代は、人類の歴史上で初めて女性が金と権力を手に入れた時代――つまりそれはこれまで男にしか許されなかった自由を、女性も手に入れられるようになった時代です。このドラマにおけるセックスはその象徴なのです。
そしてこのドラマ最大の功績は、それまでタブー視されてきた「女子がセックスを語ること」のハードルをぐんと下げたこと。今私たちがセックスにまつわる楽しいこと、嬉しいこと、辛いこと、理不尽なことを共有できるのは、このドラマのおかげといっても過言ではありません。
text: Shiho Atsumi photo: Aflo, Getty Images