『ダンケルク』新しいスターを生み出してきた戦争映画に注目!
2017/09/07(木)
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『シン・レッド・ライン』(98)

1942年、太平洋戦争でアメリカ軍と日本軍が戦った<ガダルカナルの戦い>を描いた作品。監督のテレンス・マリックは、“映画史上最も映像の美しい映画”と呼ばれている『天国の日々』(78)を手掛けて以来、20年ものあいだ映画界から遠ざかっていた。当時失踪説まで流れていた彼が(実際にはパリに拠点を移したり、教鞭を取っていたことが後年になって判明)、20年ぶりに監督することを耳にしたハリウッドの俳優たちは、こぞって本作への出演を熱望。低予算作品にもかかわらず、ショーン・ペン、ジョン・トラヴォルタ、ジョージ・クルーニーなどの人気俳優が出演。映画はベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた。
 
この映画には、エイドリアン・ブロディが出演。当時はまだ無名だったが、2002年の『戦場のピアニスト』では史上最年少でアカデミー主演男優賞に輝いた。また今秋『ブレードランナー 2049』(17)が控えているジャレッド・レトも兵士役で出演。彼も2013年に『ダラス・バイヤーズクラブ』で、アカデミー助演男優賞に輝いている。

text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO, GETTY IMAGES

  • 『ダンケルク』
    第二次世界大戦の真っ只中の1940年。ヒトラー率いるドイツ軍により、イギリスとフランスの連合軍兵士が、フランスの港町ダンケルクに追い詰められた。海岸に残された40万人もの兵士を救出するため、対岸のイギリスから民間の船舶も動員した<ダイナモ作戦>が展開される……。これまでも斬新な世界観で観る者を驚愕させてきたクリストファー・ノーラン監督が、実際に起きた救出作戦を、陸海空それぞれの視点で描いている。緊迫感と臨場感を創り出すことを意識したIMAXでの撮影。極力CGを使わない徹底した実物主義は、博物館から当時の駆逐艦を借りて撮影するなど細部にまでこだわりをみせる。本作は物語らしいものを排除し、極力台詞を削ぐなどすることで、観客がスクリーンの中で戦場そのものを体感するような作品になっている。

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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