『ダンケルク』新しいスターを生み出してきた戦争映画に注目!
2017/09/07(木)
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『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)

CIAの若きエリート情報分析官の女性を主人公に、2011年5月2日に実行されたウサーマ・ビン・ラディン暗殺の経緯を描いた作品。監督はイラクでのアメリカ軍爆弾処理班を描いた『ハート・ロッカー』(08)で、女性監督初のアカデミー監督賞に輝いたキャスリン・ビグロー。襲撃作戦の翌年に映画化されたというスピーディな製作体制は、実際の事件に対するハリウッドの政治的姿勢のあり方を感じさせる。
 
この映画には、『ブラック・スキャンダル』(15)や『ラビング 愛という名前のふたり』(16)のジョエル・エドガートンが海軍特殊部隊員役で出演している。エドガートンは、ナタリー・ポートマン主演の『ジェーン』(16)で脚本を担当。『ザ・ギフト』(15)では製作・監督・脚本・出演を兼任するなど、役者だけでなく製作側としても現在注目されている。
 
また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのスター・ロード役をはじめ、『ジュラシック・ワールド』(15)、『マグニフィセント・セブン』(16)、『パッセンジャー』(16)など、近年ヒット作に次々と主演しているクリス・プラットも特殊部隊員役で出演している。

text: Takeo Matsuzaki photo: AFLO, GETTY IMAGES

  • 『ダンケルク』
    第二次世界大戦の真っ只中の1940年。ヒトラー率いるドイツ軍により、イギリスとフランスの連合軍兵士が、フランスの港町ダンケルクに追い詰められた。海岸に残された40万人もの兵士を救出するため、対岸のイギリスから民間の船舶も動員した<ダイナモ作戦>が展開される……。これまでも斬新な世界観で観る者を驚愕させてきたクリストファー・ノーラン監督が、実際に起きた救出作戦を、陸海空それぞれの視点で描いている。緊迫感と臨場感を創り出すことを意識したIMAXでの撮影。極力CGを使わない徹底した実物主義は、博物館から当時の駆逐艦を借りて撮影するなど細部にまでこだわりをみせる。本作は物語らしいものを排除し、極力台詞を削ぐなどすることで、観客がスクリーンの中で戦場そのものを体感するような作品になっている。

  • 松崎健夫(まつざき・たけお)
    映画評論家。『キネマ旬報』などに寄稿し、『WOWOWぷらすと』『ZIP!』『japanぐる〜ヴ』に出演中。共著『現代映画用語事典』ほか。

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