特集
2017/12/01(金)

金曜日の毒母たちへvol.4―――女優マレーネ・ディートリヒ、娘を隔離した背徳の教祖

「3歳のときから知っていました。私に母親はいない。自分は女王さまに仕えているのだと」。豪邸に閉じ込め社会から隔離し、奔放な性生活を家庭に持ち込む。真綿で首を絞めるように娘を虐待した伝説の女優マレーネ・ディートリヒ、毒母の素顔とは。

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撮影年代不明。マリアは8歳頃からマレーネの楽屋に出入りし、アシスタントとして使われた。

Photo: Getty Images

娘を「あの子供」と呼ぶ

「3歳のときから知っていました。私に母親はいない。自分は女王さまに仕えているのだと」。

マリア・ライヴァは1992年に刊行した回想録でこう告白している。彼女の母はマレーネ・ディートリヒ。超絶的な美貌をもつ世界的なスーパースターは、娘に対して絶対的な権力者としてふるまった。マレーネは娘を名前ではなく「あの子供」と呼び、子供が成長するのを嫌がった。自分が老けて見えるからだ。

少女時代のマリアと母親の写真は、なるべく子供を小さく見せるよう、つねに俯瞰かバストショットで撮影されている。マリアは長い間自分の年齢を教えられず、12歳になるまで、本当の父親が誰だか知らなかった。身体的に虐待されていたわけではない。

Original Text: Florence Trèdez  Text: Izumi Matsuura

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