華やかなイメージとは正反対のパリ

『北ホテル』

『天井桟敷の人々』でも知られる名匠マルセル・カルネが戦前に撮った傑作。サン・マルタン運河沿いの「北ホテル」。失業中のピエールは、悲観して恋人のルネと心中する決心をする。ルネを撃ち、自らも命を絶とうとするが、恐怖に駆られそこから逃げ出し、翌朝警察に自首する。命を取り留めたルネは、ホテルでメイドとして働き始める。獄中のピエールは、ルネに別れを切り出し、前から彼女に想いを寄せていたホテルの隣部屋のエドモンは、ルネにマルセイユに行こうと誘うが……。華やかなパリのイメージとは正反対の、庶民的なホテルで繰り広げられる恋愛模様。
 
ちなみに現在、サン・マルタン運河あたりは再開発が進み、すっかりおしゃれエリアに。「北ホテル」は名前はそのまま（HOTEL DU NORD）に、ステキなレストランになっている。