2013/7/26(金)
ある女性がたどる2時間の葛藤劇
『5時から7時までのクレオ』
精密検査を受けたポップシンガーのクレオは、7時に医師に会い、結果を聞くことになっている。もしかしたら癌に侵されているかもしれないという恐れを抱きながら、パリの街をさまよう。占い師に出会い、絶望的な気持ちになったクレオは、家に戻り、恋人や作曲家の友人に出会うが、誰も彼女の気持ちを理解してくれない。ふたたび街に出たクレオは、カフェに立ち寄り音楽を聴いても気が晴れない。そんなクレオは公園でアルジェリアから休暇で戻っている見知らぬ兵士に会い、親近感を覚える……。
当時、新進女性監督だったアニエス・ヴァルダが、ひとりの女性の心の葛藤を2時間という時間の経過のうちに見事に切り取ったみずみずしい作品。モンスリ公園やアーティストたちに愛されたモンパルナスの老舗カフェ「ル・ドーム」なども登場する。
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『5時から7時までのクレオ』
1961年
監督/アニエス・ヴァルダ
出演/コリンヌ・マルシャン、アントワーヌ・ブルセイエ
text : Atsuko Tatsuta