昼顔妻の暴走を止めるヒント2
渡る世間は敵ばかり
もうひとつは、「Women, who have it all(すべてを手に入れた女性)」に対して世間は想像以上に冷たいよ、ということです。マタハラという言葉がありますが、あれもまさに「仕事も愛するパートナーも子供も」すべて手に入れようとする女性に対する妬みやっかみが蓄積されて表出するものだと思います。ここでさらに「仕事もパートナーも子供も、そしてさらに新しい恋のキュンキュンまで」持とうとする人に対して、人は敵意こそあれなかなか味方になってくれません。むやみに人に羨ましがられるというのは生きていく上であなたを何かの拍子に引き摺り下ろそうとする敵を増やすことでもあり、必ずしも得策ではありません。すべてを手に入れているように見える女性の綻びを探そうと、世間は躍起になってせせこましい視線を向けてくるかもしれません。
Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images
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鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。2017年5月25日には、新著『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)を発売。7月1日には、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が全国順次ロードショー。
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