既婚男性と不倫する女子へ刺さる言葉3
「いちばんに助けてくれる人のいない人生なんて」
なぜ人は、他にすべてが手に入っても愛を求めるのでしょうか。お金も地位も名誉もある人が、最後に求めるのは決まって恋愛です。そして、恋する相手を自分だけのものにしたいと願うもの。基本的に、好きな人を不特定多数と積極的に共有したいと思う人はあまりいません。いろいろと理由はあると思いますが、恋愛というのは、最も手っ取り早く、少なくとも世界にひとりだけは、自分を優先順位一位にしてくれる人を確保することに他ならないからです。
何かで世界一になるのは大変ですが、愛し愛される恋人同士はお互いにとってお互いが当たり前に世界一です。他に何も自慢することがなくても、愛する人がいるだけで幸福感に満ちるのも、いろいろなものが手に入っても愛する人のいない人生が虚しく感じるのもそのせいです。不倫という誰かにとって特別かもしれないけれどもいちばんではない位置に甘んじている恋愛というのは、その、自分を優先順位一位に思ってくれる人を作る機会を放棄していることになります。他の誰にでもいる、最後に味方になってくれる人、というのがいない人生は厳しいですよね。
Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images
-
鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。2017年5月25日には、新著『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)を発売。7月1日には、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が全国順次ロードショー。
Twitter:@Suzumixxx
http://lineblog.me/suzukisuzumi/