不倫にハマりやすいタイプは?
理想が低くて生活に困っていない人ほど不倫に陥りがち
なんの因果か、私には不倫の季節というのがありました。私が不倫をしていたわけではなく、職場で最も仲の良い先輩、高校時代の親友、大学時代の仲間など、ごく近しい女友だち4人が同時に不倫の相談を持ちかけてきたのです。どの人も状況や相手は違いますが、どこか似ている部分も見られました。みんな、性格が良くて綺麗な子だったのですが、男の人に関する向上心というのがないのです。男の人に関する向上心とここでいうのはつまり、「絶対に一流企業のエリートと結婚してやる!」とか、「自慢できる彼氏じゃないと嫌!」、「セレブと結婚して社交界の仲間入りをしたい!」など、自分の見栄やコンプレックス、欲望を男の人との恋愛をバネに解決そして、達成しようという発想がないという意味。
だから、私や他の友だちが口を酸っぱくして「あなたのためにならないよ」「幸せになれないよ」的なことを言っていたのは、全くの見当はずれということになります。そもそも男を自己実現の道具として考えてはいないわけですから、当たり前ですよね。彼も自分も高収入、彼女たち自身は結婚や出産には興味がない様子。私や共通の知人はつっこみを入れようと一見完璧に見える彼女たちの生活に綻びを探すのですが、なかなか見つかりませんでした。では今、彼女を論破するとしたら……というところを糸口に、少し言葉を連ねてみます。
Text: Suzumi Suzuki Photo: Getty Images
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鈴木涼美/社会学者、作家。1983年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。記者として在籍した日本経済新聞社を退社後、執筆業を中心に活動。著書に『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)や『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)など。2017年5月25日には、新著『愛と子宮に花束を』(幻冬舎)を発売。7月1日には、同名小説を原作とした映画『身体を売ったらサヨウナラ』が全国順次ロードショー。
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