2003年
マイケル・ムーア、長編ドキュメンタリー映画賞
ヴァネッサ・レッドグレイヴのスピーチのブーイングもすごかったが、2003年の『ボウリング・フォー・コロンバイン』で長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した時の、マイケル・ムーア監督のスピーチはさらに過激だった。ムーア監督は就任初日から批判してきた当時の大統領、ジョージ・W・ブッシュを「虚構の大統領」とし、「虚構の理由の為に我々を戦地に送り込んでいる」と非難した。今よりもナイーヴだった当時、ムーア監督の手厳しい抗議は人々を困惑させ、怒らせた。カメラに映ったエイドリアン・ブロディはブーイングの最中「一体どうリアクションしたらいいのさ」というように目配せしている。さらなるヤジを音楽がかき消す前に、ムーア監督が最後に言い放ったメッセージは「恥を知れ、ミスター・ブッシュ!」だった。
Translation, text : Naoko Ogata Photo: Getty Images