隠され続けた婚約指輪
90年代のミニマリズムを象徴する洗練されたスタイルで、今なおファッション・アイコンとして生き続けるJFK Jr.(通称ジョン・ジョン) の妻、キャロリン・ベセット=ケネディ。
結婚後、公の場ではほとんどがモノトーンのコーディネートに赤リップ、そしてジュエリーはごくシンプルなイエローゴールドの結婚指輪のみというスタイルだった彼女。昼間ではなく夜間に開催されるブラックタイのチャリティパーティなどなら、当然、ある程度のジュエリー着用が望ましいので、ごく普通の既婚アメリカ人女性なら、婚約指輪かカクテルリングと結婚指輪の重ね付けをするはず。
ところが、これまで、キャロリン・ベセット=ケネディの婚約指輪は話題に上ったことすらない。婚約当時ですら、彼女が終生悩まされ続けたパパラッチにすっぱ抜かれたことさえない。もし話題になっていたとすれば今でも「憧れセレブのエンゲージメントリング特集」などに既に登場しているはずだ。
だが、徹底的にマスコミを避けた世紀の結婚式の直前に撮影されたある写真では、左手薬指に光るダイヤモンドとサファイアのエタニティリングの姿が認められる。ふたりのアシスタントを務めていたローズマリー・テレンツィオの回想録によると1994年7月4日の独立記念日に滞在先のマーサズ・ヴィニヤードで釣りをしている最中に、「釣りはパートナーと一緒の方が一層楽しめるからね」というのがプロポーズの言葉だったよう。
こちらの婚約指輪は、ジョン・ジョンのいとこにあたるアンソニー・ラジウィルの妻、キャロル・ラジウィルの回想録によると、キャロリンの好みとはまったくかけ離れたものだったようで、思い入れなさげにこんな風に表現している。
「これは彼のお母さまが持っていた指輪のレプリカなの。お義母様はこれを“スイミング・リング”と呼んでいたそうよ」。
Text: Ryoko Oh Photo:Getty Images