仕事に友情に。22歳の神木隆之介にクローズアップ
子役時代、思春期、大人になってから。いつインタビューしても誰に対してもまるでお喋りを楽しむようにニコニコと応じてくれる神木隆之介。プライベートで友だちと過ごすときも、「どうやったら楽しんでもらえるか」とまず相手のことを第一に考えるそう。そんな彼のいまいちばんの仲良しが『太陽』(2016年4月23日公開)で共演した古川雄輝なのだとか。絶望的な近未来を描いた作品で、二人はどのように仲良くなっていったのだろうか。得意という共演者攻略法のほか、意外と詳しい少女漫画の話など、オンもオフもユニークな、神木ならではの発言が次々と飛び出した。
興味があることとないことの差が激しい
―鉄彦みたいなタイプは友だちとしては、どうですか。
慣れれば平気だと思いますが、初対面なら、「なんてこの人、自由なんだろう」と思うかもしれません。ある意味、それがうらやましくもあるはずです。
―お母さんにひどいことを言いますよね。あり得ないですよね(笑)。
思いっきり、言っていましたね(笑)。僕は母親と仲がいいので、あんなこと言ったことがないです。周りの環境、キャストの方たちの演技がとてつもなく、素晴らしくて、自然と鉄彦のような荒々しい気分になりましたし、思い切り悪口を言って暴れることが出来ました。
―鉄彦は森繁(古川雄輝)のためにマスクを作りますが、神木さんはものを作ったり、細かい作業をしたりするのは好きですか。
好きです。興味があることなら、どんなに細かい作業でも平気です。だけど、興味がないことはちょっと無理かな。
―例えば、どんなことですか。
何かを並べるとか、好きです。鉄道が好きなので、小さい頃は、Nゲージのジオラマの細かいところを、何時間でも根を詰めて、並べていました。でも、学校の家庭科の授業で、マフラーを編んだときは、途中で諦めて、やっているふりをして、寝ていました(笑)。興味があれば、こだわりたいのですが、全く興味がないと集中力が0になる。家庭科で雑巾を縫う時もいちばん、最初に終わったんです。「この縫い方、なんなの?」って言われるくらい、一縫いをすごく長くしたら、糸を全部、切られて、「最初からやり直し」と叱られました(苦笑)。こだわるところはこだわるけれど、適当なときは適当。その差がちょっと激しすぎるかもしれないです。
―いま、こだわっていることはありますか。
最近はカメラのフィルムです。フィルムの感度を100とか400とか、いろいろ試してみて、こだわっています。それこそカメラは、今回、共演した村上淳さんの影響です。前の作品で、ご一緒させてもらった時に、フィルムの使い方などいろいろ教えていただいて以来、ずっとやっています。
―カメラは何台くらい持ってるんですか。
いただきものとかもあるのですが、小さいものだと4,5台です。
―どんなものを撮るんですか。
風景を撮っているのですが、最近は人を撮りたいと思い始めています。レンズを覗くと、人を撮りたくなるんです。焦点を人に合わせると、後ろの風景がすごくボケて、いい感じになる。デジタルより、アナログ。村上淳さんにアドバイスしてもらったら、すごくいい写真が撮れそうな気がして……。それ以来、人を撮りたいと思っています。
―現場にもカメラを持って行ったりするんですか。
持って行ったり、行かなかったりします。『太陽』の撮影は寒すぎて、持って行きませんでした。一昨年の11月に秩父でロケをしたのですが、とてつもなく寒くて、それどころではなくて、暖をとることに必死でした。寒いのは苦手です。暑い方がいいです。
―撮った写真を誰かに見せたりしていますか。
見せていないです。「これ、撮ってみたんだよ」というのはまだ、少し恥ずかしいんです。自分で楽しむか、家族に見せるくらいです。
―じゃあ、カメラ自慢は?
デジタルなのですが、撮りやすいカメラがあるので、それは説明したりします。しかし、「この機能がいいんだよ」と話しておいて、そのカメラで撮った写真は見せないという(苦笑)。
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『太陽』
21世紀初頭。人類は夜しか生きられない新人類ノクスと太陽のもと、貧しく暮らす旧人類キュリオに分断されていた。ただし、キュリオに生まれた者でも、20歳までならノクスに転換できる。家族や友人を捨てて、自分の運命を切り開くのか。岐路に立たされた若者たちがそれぞれ下す選択は……。神木はキュリオに生まれ、ノクスに強く憧れる鉄彦役。ノクスでありながら制度に疑問を抱く駐在員の森繁(古川雄輝)と深い友情で結ばれる。2016年4月23日(土)公開。
http://eiga-taiyo.jp/
Photo: Kisimari(W) Styling: Keita Izuka Hair & Makeup: INOMATA(&’s management) Inteview & Text: Aki Takayama
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神木隆之介/1993年5月19日生まれ。埼玉県出身。99年、テレビドラマ「グッドニュース」でデビュー。以後、映画・テレビドラマを中心に活躍。映画『妖怪大戦争』(05)で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。近年の出演作は、ドラマ「SPEC」シリーズ(10〜)、「11人もいる!」(11)、「家族ゲーム」(13)、「学校のカイダン」(15)、「サムライせんせい」(15)、『劇場版SPECシリーズ』(12〜13)、『桐島、部活やめるってよ』(12)、『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』『神さまの言うとおり』(14)、『脳内ポイズンベリー』『バクマン。』(15)など。