内なる思いをワインに込める、孤高のヴィニュロン
ドメーヌ・ローラン・バルツ
「ワインに理論は大切。そして想像も。ワインはイマジネーションによってどんどん広がりを持つことができる」。1998年からこのドメーヌを一人でになっているローラン・バルツ。もともとぶどう栽培をする農家に生まれた彼は、大学で醸造学を学んだ後、フランスの銘醸地で研修を積み、ワイン修行の旅に出る。レバノン、南アフリカ、アメリカ、インド、オーストラリアなど、世界各地でワインを学んでいたが、父の急死によってアルザスへと戻り、跡を継ぐことになった。「最初は、先代までと同じようにぶどうを協同組合に納めていましたが、少しずつワイン造りの準備を進め、2004年から自分の手でワインを仕込むようになりました」。彼もまた、自然に寄り添うようなワイン造りを志し、2007年にはビオ認証を受けた。「人の手を必要以上に入れず、シンプルにこの土地を表現するワインを造りたい。もちろん、100%コントロールすることはできないし、年によっては輪郭のはっきりしないワインが生まれることもある。けれど、それがテロワールであり、ヴィンテージなのだから、それはそれで受け入れたい」。現在、ドメーヌで働くのは彼一人。手伝いの学生がいるが、基本的には、畑仕事から販売まで、ほぼすべて自分で行っているという。冬の選定や、ワインができた後の瓶詰など、一人の作業は大変なのでは? 「畑仕事の時は、音楽やラジオを聴きながらやるととても集中できる。畑で、教育番組を聴きながら作業することだってありますよ。たしかに大変なときもあるけれど、自分の目と手の届く範囲でゆっくり進みたい」。とてもシャイな雰囲気とは裏腹に、心の中にはしっかりと自分の信念を抱いているようだ。これからどんなワインを生み出してくれるのか、楽しみにしたい。
-
ドメーヌ・ローラン・バルツ Domaine Laurent Barth
3, rue du Maréchal de Lattre, 68630 Bennwihr, France
tel. +33.3.89.47.96.06
※見学可能。要予約。 -
このワインが買えます!
ローラン・バルツ ゲヴュルツトラミネールV.V. 2012
¥3,780(税込)
photos : Taisuke Yoshida