ミシェル・オバマが、ファッションで本当に伝えたかったメッセージとは?
2017/01/19(木)
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2012年9月4日、ノースカロライナ州の民主党大会に「トレイシー・リース」のドレスを着て登場。

着るものと話すことのバランスを取ることが重要だということ

トレイシー・リース(ファッションデザイナー)

「選挙の何週間か前に1本の電話がかかってきて、オバマ夫人が民主党大会に着て行くドレスを提供してくれないかと言われたの。細かい指示はあまり無かったけれど、ただノースカロライナ州で開かれる大会だから暖かい気候に適した服であるようにということだけを言われたわ。
喜んでオファーを受け入れたわ。その年の春夏コレクションにちょうどいいドレスがあったから、それをコレクションとは違う生地で作ってみようということになったの。そのとき使った生地はたまたま、私のお気に入りのイタリアの工場から取り寄せていた、個人的にとても気に入っていた生地なの。とりあえずその生地でドレスを作ってみてオバマ夫人に送ってみたのだけど、確実にそのドレスを着るという約束は一切されてなかった。万が一、事態が急変したときに臨機応変に対応できるようにだと思うけれど。
 
ちょうど私たちはファッションショーを数日後に控えていて、その準備で大忙しだったわけ。そんなある日、私はオフィスで仕事をしていると、家にいた会社の業務担当者から『オバマ夫人が私たちのドレスを着ている!』という電話が入ってきたの。オバマ夫人はとにかく美しかったけど、それ以上にすばらしかったのは、彼女のスピーチに皆が感銘を受けて釘付けになっていたこと。その翌日には『オバマ夫人の着ていたドレスは? 履いていた靴は? 塗っていたマニキュアは?』と、どこもかしこも大騒ぎだったの。外見をできるだけ華やかに演出しながら、話の内容にもちゃんと耳を傾けてもらわなくてはならないということや、そのふたつのバランスをうまくとらなければならないということを、このときとても実感したわ。

 
とにかくオバマ夫人は本当に美しかったし、私たちにとってはとても名誉のある出来事で大きなターニングポイントにもなったわ。オバマ夫人が着たドレスは、彼女のために特別に作ったものだったから、同じ形や色のものはほかにはなかったの。だから、急遽同じドレスを生産することになったわけ。オバマ夫人が着ていたドレスがほしいという要望が凄まじかったから。2,400着ぐらいは売れたかしら。小売店からの注文やお客様からのウェブサイト上での問い合わせがすごかったから、生産が間に合わなくなって予約注文を受け付けることになったほど。予約を受け付けてから出荷まで3ヶ月もかかっても完売したのよ。
 
オバマ夫人は着るものをとても意識的に選んでいたからこそ、私のドレスを着てくれたのだと思っているわ。彼女は有名デザイナーから比較的知られていないデザイナーまで、さまざまな服を着ることで、より多くのデザイナーたちに注目される機会を与えてくれたのではないかしら。オバマ夫人は何をどこで着て、なぜそこで着る意味があるのかをとてもよく考えていて、私のデザインを着るときも、もっともふさわしいタイミングと場所で披露したのだと思うわ。とても感謝しているの。『じゃあ、ピンクのドレスを着ようかしら』なんて何気なく選んではいないのよ。
 
肌の色も性別もどうであれ、オバマ夫人はとにかく全員にとっての最高のロールモデルだと思うわ。真の上品さ、真の思いやり、真の寛大さがどういうものなのかを見せつけてくれる人なのよ。これから先、私たちはこれらの価値観を大切にしながら生きていかなくてはならないわね。特に10〜15歳ぐらいのオバマ夫人というファーストレディしか知らない子どもたちには、決して当たり前のこととして受け止めてはならないの。オバマ夫人は、今までのなかで“最もすばらしいファーストレディのひとり”として歴史に名を残すと思うわ」

トレイシー・レース(Tracy Reese)

Interview & Text: Leah Chernikoff, Nikki Ogunnaike  Translation: Rendezvous Photo: GETTY IMAGES

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