ミシェル・オバマが、ファッションで本当に伝えたかったメッセージとは?
2017/01/19(木)
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2015年5月1日、ホワイトハウス記者会主催夕食会にて。

さまざまな人種の人々を受け入れることが重要だということ

プラバル・グルン(ファッションデザイナー)

「僕がアメリカに移民として来たとき、知り合いはひとりもいなかった。ただファッションの世界で働きたいという野望と、自分のレーベルを立ち上げたいという夢を胸に抱いていたんだ。僕はアメリカで学校に通い、仕事をして、下積みで経験を積んだ。僕の人生は、よく話にあるアメリカンサクセスストーリーの現実版みたいなものさ。ネパールからの移民デザイナーである僕を、ファーストレディがあたたかく受け入れてくれて、僕の洋服を着てくれたときは言葉にできないほどの感激を味わったよ。なにせ、アメリカのファーストレディは世界で最も注目されている人物のひとりだからね。彼女は僕の夢や希望を実現してくれただけでなく、さまざまな人種の人々を受け入れる重要性を世界に向けて訴えた。この意思表示は、世界中の人々に影響を及ぼしたよ。特にネパールの人々にとっては大きな夢を実現できるということの証明になったね。
 
オバマ夫人がホワイトハウス記者協会主催の晩餐会に、僕がデザインしたドレスを着て参加してからすごく注目されるようになったんだ。とても影響力のある出来事だったね。違う目で見られるようになったよ。知名度が上がったおかげで、ビジネス面でも真剣に扱われるようになったしね。僕のキャリアを一気に勢いつけて、故郷のネパールで財団を設立するうえでの土台にもなった。彼女が僕のデザインを選んでくれたことで、僕もまた行動のひとつひとつに対する責任感が増したよ。

 
僕のデザインが有名な女優に着られたり雑誌の表紙に載ったりしたときには、必ず母に報告していたけど、いつも『あなたの洋服をファーストレディが着たときに連絡してちょうだい』という返事が返ってきていたね。何とその一年後には、その連絡をすることができた。それから数年後、僕はホワイトハウスに招かれることになり、そのときに母を一緒に連れて行ったんだ。ファーストレディに母を紹介すると、オバマ夫人は、『私たちはプラバルをとても誇りに思っているのよ』と言ってくれた、もう感無量だったね。あの瞬間は一生忘れないよ。ニューヨークでファッションの勉強をするためにネパールを出るとき、地元のみんなには『それはただの趣味じゃない? 実際の仕事はどうするの?』と言われたよ。でも母だけは『本当にやりたいことだったら応援するわ。頑張ってらっしゃい』と言ってくれた。あの瞬間、ファーストレディは母がずっと僕に対して抱き続けてくれた信頼感をすべて肯定してくれた。さまざまな思いが一気に込み上がってきた瞬間だったよ。
 
ミシェル・オバマは自分自身、国、そして社会状況にとって、何らかの意味をもつデザイナーを丁寧に選んでいた。『でも、たかがファッションでしょ? 深い意味なんてないじゃないの』というような言葉を、僕は何回も聞かされてきた。ミシェル・オバマはそんな言葉を幾度となく覆し、8年間の間で政治とファッションについてさまざまな強い主張をしてきたのさ。そんな偉業を成し遂げることができたのは、きっと彼女だけだと思うよ」

プラバル・グルン(Prabal Gurung)

Interview & Text: Leah Chernikoff, Nikki Ogunnaike  Translation: Rendezvous Photo: GETTY IMAGES

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