魅惑の彫刻家を5つのエピソードでひも解く! エル的ジャコメッティ入門ガイド
2017/06/12(月)
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(左)ジャコメッティと矢内原。知的でウィットに富んだふたりの会話は、矢内原の著作に紹介されている。/撮影:アネット 協力:みすず書房
(右)矢内原は、年齢の近いスイス人の妻アネットにも愛されていた模様。/撮影:矢内原伊作 協力:みすず書房

孤高の芸術家の素顔を5つのエピソードでひも解く③

3.三角関係も? モデルたちとの親密すぎる関係

妻のアネットや晩年の愛人カロリーヌ、弟のディエゴ、作家ジャン・ジュネや批評家ジェイムズ・ロードなど、ひとりのモデルに没頭するのがジャコメッティのスタイルだった。当然モデル側にも忍耐力が求められるが、その濃密で魅力的な創作の時間については何人かが著作に記している。1956年から何度もモデルを務めた日本人哲学者、矢内原伊作もそのひとり。「矢内原をモデルにしていたとき、『壊す勇気が必要だ』と、お昼に描き始めた作品を夕方には全部消してしまうということもよくあったようです。消沈する矢内原をジャコメッティが『ここからがスタートなのだ!』と慰めて(笑)。『1000年かかってもひとりの人間を作れないだろう』と言ったジャコメッティは、忍耐力のある人が現れたら、そのモデルだけで一生作り続けたかもしれませんね」

辛酸なめ子さんの“人生イラスト”PART.3
《肘をつくヤナイハラ》右
東洋的な顔立ちがジャコメッティには魅力的だったのか、パリ留学中にモデルを務め、親しい友人になった哲学者の矢内原伊作。本展では、手帳や紙ナプキンに鉛筆やボールペンで描かれたスケッチが登場する。
1956-61年 神奈川県立美術館(旧矢内原伊作コレクション)

Text: MAYUMI YAWATAYA Illustration: NAMEKO SHINSAN

  • 「ジャコメッティ展」
    6月14日~9月4日
    ㊡火10:00~18:00(金・土~20:00)
    国立新美術館 企画展示室1E
    一般¥1,600ほか
    ※10月14日~12月24日、
    豊田市美術館へ巡回。
     
    お問い合わせ/
    Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
    www.tbs.co.jp/giacometti2017/

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