魅惑の彫刻家を5つのエピソードでひも解く! エル的ジャコメッティ入門ガイド
2017/06/12(月)
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《ヴェネツィアの女》
1956年にフランス代表としてヴェネツィア・ビエンナーレに参加した際、妻アネットをモデルに制作。現存する9点すべてが本展に出品されるので、それぞれの違いに注目を。女性の体を写実的に捉えた立像シリーズ。
左から/《ヴェネツィアの女Ⅲ》《ヴェネツィアの女Ⅱ》《ヴェネツィアの女Ⅰ》1956年 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

孤高の芸術家の素顔を5つのエピソードでひも解く

1.なぜ、細長くなっていったのか? その謎を明かす

ジャコメッティは、シュルレアリスムに参加していた時期を経た後、1935年頃から写生にたち戻っていった。当初は記憶に基づき制作していたが、記憶のなかの人はどんどん遠ざかり、小さくなって、作品そのものも極小になっていったらしい。そこでモデルを前に制作を始めると、今度はどんどん細長い人間像に……。「ジャコメッティは、美術学校で学んだ解剖学に基づくアカデミックな肉付けではなく、自分の目で見えるとおりに作りたかったようです。その意味で、予定調和とはほど遠い人でした。現れると同時に消えてしまう、不安定な存在としての人間を捉えようとするうちに、だんだん細長い像になっていきました」

故郷スタンパのアトリエで、アネットをモデルに描くジャコメッティ。
撮影:矢内原伊作 協力:みすず書房

《女=スプーン》
1926/27年 マルグリット&エメ・マーグ財団美術館、サン=ポール・ド・ヴァンス Archives Fondation Maeght, Saint-Paul de Vence (France)

細長い像にたどり着く前は、こんなボリューム感のある作品も。、キュビスムとアフリカ彫刻に影響を受けていた25歳頃の制作。後に生涯にわたって探求することになる女性の立像を予言するような存在。

Text: MAYUMI YAWATAYA Illustration: NAMEKO SHINSAN

  • 「ジャコメッティ展」
    6月14日~9月4日
    ㊡火10:00~18:00(金・土~20:00)
    国立新美術館 企画展示室1E
    一般¥1,600ほか
    ※10月14日~12月24日、
    豊田市美術館へ巡回。
     
    お問い合わせ/
    Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)
    www.tbs.co.jp/giacometti2017/

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