“睡眠不足”より怖い“睡眠負債”とは?
「負債は放っておけばどんどん増えていって、しまいには首が回らなくなりますよね? それと同じことが睡眠でも起こっているんです。“睡眠不足”というと『ちょっと足りてないだけ』と思いがちですが、“睡眠負債”となるとどうでしょう? 『早く返済しなくては。急いでどうにかしなくては』と思いませんか? そのくらい溜まってしまった睡眠時間の不足分=負債は、そう簡単には返せないんです。よく『週末に寝溜めをすれば大丈夫』と思っている方がいますが、実はそう簡単なことではなく、ある実験では『40分の睡眠負債を返済するのに、毎日14時間ベッドにいることを3週間続けなくてはいけなかった』という結果があるほどです。“ちょっと寝不足”というのがいかにジワジワ自分の体にとって負担になってきているか、というのがおわかりいただけると思います」。
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西野精治先生
スタンフォード大学医学部精神科教授。同大学睡眠生体リズム研究所(SNCラボ)所長。医師、医学博士。87年に渡米後、突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。「睡眠の謎を解き明かして社会に還元する」を命題に日々研究を進める。著書『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版刊 ¥1,500)がベストセラーに。現在は研究のかたわら、寝具の研究開発や多数の講演、TV出演なども行う。
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