エディターズPICK
2015/09/28(月)
早耳調査隊がゆく!

ジェンダーはフルイディティが時代のキーワード

ファッションから赤ちゃんの名づけ、そしてトランス・ジェンダーのアイコンまで、“今”を語るためのキーワード“ジェンダー・フルイディティ (ジェンダーの流動性)”。来年のアカデミー賞確実と噂され公開前にも拘わらず今もっとも話題の映画『The Danish Girl(邦題:リリーのすべて)』で描かれた主人公夫婦、ゲルダ&アイナー・ウェゲナーの人生とともにいち早く解説!

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さて、どれが男性でどれが女性でしょう? 答えを考えた時点で少し時代とずれているのかも?

Photo : Imaxtree

男だって女だってどっちもいいの。ファッションが表現するジェンダー・ニュートラルな社会

古くはジャン=ポール・ゴルチエから始まり、2012年秋冬頃から、ジョナサン・アンダーソンら若手デザイナーたちが加速させてきたメンズウェアへのレディスアイテムの流入。そして今シーズン、ジェンダーニュートラルが今シーズンようやくメインストリームとして結実したかのように見える。時を同じくして、キム・カーダシアンの父、ブルース・ジェンナーがケイトリン・ジェンナーとして美しく自身の姿を取り戻した。正確にいえばトランスジェンダーと同性愛はまったく異なるトピックではあるけれど、6月にアメリカ連邦最高裁が同性婚を違法とすることを違憲と決定し、事実上アメリカ全土で同性婚が可能になったニュースは海外に飛び火、日本でも東京都の渋谷区、世田谷区などで同性カップルを認定する動きになるまで発展したのは、「どんな性であっても平等に権利があってしかるべき」という点で影響を受けていると言えそう。
 
その流れは既に世界的なトレンドを代表するキーワードになりそうな勢い。ジェンダー・ニュートラル、つまりジェンダー(生物学的な性差にそれ以上の意味づけを加えたもの、つまり社会的に構築された「男」「女」という差)から中立的な姿勢をとること、そこから一歩進んでジェンダーが固定的であるという“常識”から逃れること、つまりは流動的なものであるべきと認識すること。これを知っておくことが、現代的か旧態依然かを隔てる踏み絵となることは間違いない。

今を時めくNYブランド「パブリック スクール」と「セオリー」でメンズモデルとして登場したKris。

Photo : Aflo, Getty Images

女性が男性の、男性が女性のコレクションランウェイを歩くのが普通。当然、クロージングラインもどちらのジェンダーも手を伸ばすことを想定したニュートラルがトレンドに。また、男性モデルとして活躍する女性も。エリオット・セイラーズに続いて今話題となっているのが、つい先ごろ開催されたニューヨークのメンズファッションウィークで「セオリー」のプレゼンテーションに登場したKris Gottschalk。デビュー当初はブロンドで、“普通の”女性モデル。ところが、一時キャリアを中断して休みを取りった際、旅行先で自転車事故に遭い、頭部をひどく打ったため、手術の為に髪の毛を剃らなければならなかった。その事故について「生き残ったこと自体とてもラッキーなこと。もっとひどくなる可能性だってあった。それ以来、今を精一杯生きてるわ」と告白。また、新しい姿になることは自分の人生の新しい始まりだったと語っている。「髪の毛を剃っている姿のおかげで、皆の私に対する見方が変わったの。そのおかげで、もっとエッジィな、これまででは出会えなかったクライアントや仕事に出会えた。今はこの姿でいるほうがしっくり馴染む。元々ボーイッシュで少しロックテイストな感じが好きだったし、今はクライアントも私をそう見てくれる。それ以前はいつも自分じゃない誰かになろうとしていた気がしていたから。」
 
また、今年初めて、トランスジェンダーのモデルのみをレップするモデルエージェンシーや、白人ではないモデルだけが所属するモデルエージェンシーが誕生しているのも流れに沿うもの。ブランドにとってもダイバーシティーの拡大は市場の拡大も意味する。これはもはや誰にも止められない流れ。

 

Text : Ryoko Tsukada

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