現代に蘇るモガ。大正モダンパンクを打ち出した「グローイング ペインズ」に称賛の声
AFWTで注目を集めたブランドのひとつが、世界で活躍する日本人ファッショニスタの代表ともいえるマドモアゼル・ユリア氏が手掛ける「グローイング ペインズ」。昭和2年に建てられたクラシックな洋館、小笠原伯爵邸を舞台に開催された、今回で2度目となるランウェイショーのテーマは、“モガ”こと、モダンガール。大正デモクラシーの影響で、民主化や近代化が進み、女性もより自由にアクティブに、既成概念を打ち破っていた時代。同時に、急激な変化や不安定な社会情勢といった混沌とした不安感は、現代社会に通じるのでは?という考えに行き着いたそう。
「大正時代のモダンガールこそ、パンクだなって思ったんです」と語るマドモアゼル・ユリア氏が表現したのが、当時のモガたちが好んで着た海老茶色や着物のシルエットを取り入れた、モガ的パンクスタイル。
着物合わせのようなライダースや袴風パンツ、家紋付きワンピースなど、大正時代を感じさせるディテールに、PVCやラテックス、メタリックヤーンなどのハイテク素材を組み合わせ、パンクな印象を加えたルックが印象的。ロンドンの気鋭ブランド「HYDORA」とのコラボラテックスコートや、アイウェアレーベル「Double Lovers」とのコラボアイウェアなど、ユリア氏の人脈ならではのコラボアイテムにも注目が集まった。
左「HYDRA」とのコラボコート。右 「Double Lovers」とのコラボアイウェア。 photo: GROWING PAINS
ヘア&メイクアップについてもクリエーションに対するこだわりが随所に。メイクアップを担当した「RMK」メイク アップ アーティストの金子達也氏は、クラシックとパンクという相反するものをメイクで表現したそう。「パンク精神を“違和感”という形で表現しました。ヌーディな肌にグリッシーなリップを組み合わせたり、リップに使うグロスをアイホールに使ったり、上品さをキープしながらパンチを利かせたメイクにこだわりました」と金子氏。
ヘアを手掛けたのは、「トニー&ガイ」アーティスティックダイレクターの梅 美奈子氏。「日本髪のシルエットやボリューム、フィンガーウェーブをベースに、より自由なアレンジを加えて、パンク精神を表現しました。大正時代の友愛精神に自分のアイデンティティを加え、女性が楽しんでいる姿を目指しました」。
とどまることのない進化を続けるマドモアゼル・ユリア氏のクリエーションに、日本はもちろん、海外メディアからも賞賛の声が。ジャパニーズモードを牽引するブランドとして、今季もファッションウィークを大いに盛り上げた。