●結婚と仕事。やりたいことをいつも支持してくれた夫
-林さんが働くことについて、パートナーの理解はありましたか?
私が働くことはもちろん、これまで、夫には私がやりたいということを反対されたことがありません。私が「BMW」の支店長をしていた時に、ライバル会社の「フォルクスワーゲン」から社長にとスカウトされて迷っていた際には、「『チャンスの神様は前髪しかない』どうしてやらないの? こんなチャンスそうそうないよ」と、後押ししてくれました。
実は私はやりたいと思って言ったのです。部下を仲間だと思って、モチベートして、能力を引き出していけば絶対にビジネスはうまくいくと思っていたので、社長として会社全体に広げることは是非やりたかった。それでも、夫がどう感じるか迷っていました。でも思い切って相談したら、意外な答えだったわけです。
私が若い方に申し上げたいのは、パートナーとの関係はそういう積み重ねだということです。結婚生活にはいろいろな困難がつきまとっていく。それを2人で話し合って、葛藤も喧嘩もあって、人生を築いていくことによって2人の関係が深いものになっていく。言うなればパートナーとは川岸の向こう側とこちら側で「おーい」と声を掛け合い、手を挙げ続けている存在だと思います。そして川の向こう岸にいる人に少しずつ近づいていく旅、そう思います。
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林文子(はやし・ふみこ)
横浜市長。1946年5月5日、東京生まれ。1965年、東京都立青山高等学校卒業後、東洋レーヨンなどでの勤務を経て自動車会社の営業に転職。その後、驚異の実績を誇る“営業マン”として活躍。企業トップとなり、BMW、フォルクスワーゲン、日産自動車を立て直した手腕のため日本の経済界だけでなく、世界中から注目される女性となる。その実績をもとに2009年、横浜市の市長に就任。今年、2013年、“待機児童0”の目標を達成した。
1965~1976年 東洋レーヨン株式会社(現東レ)、松下電器産業株式会社(現パナソニック) 等 勤務
1977年 ホンダオート横浜株式会社 入社後 ホンダクリオ神奈川北株式会社に転じる
1987年 BMW株式会社東京事業部(現BMW東京)入社
1993年 BMW東京株式会社 新宿支店長
1998年 同社 中央支店長
1999年 ファーレン東京株式会社(現フォルクスワーゲンジャパン販売株式会社)代表取締役社長
2003年 BMW東京株式会社 代表取締役社長
2005年 株式会社ダイエー 代表取締役会長 兼 CEO
2007年 同社 取締役副会長
2008年 日産自動車株式会社 執行役員
2008年 東京日産自動車販売株式会社 代表取締役社長
2009年 横浜市長
主な役職第30次地方制度調査会臨時委員
東京女学館大学 客員教授
受賞歴2004年 ウォールストリートジャーナル紙「注目すべき世界の女性経営者50人」選出
2005年 米フォーブス誌「世界で最も影響力のある女性100人」選出
米フォーチュン誌「米国外のビジネス界最強の女性」選出
2006年 日経ウーマン誌「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006」キャリアクリエイト部門1位
ハーバードビジネススクール女性経営者賞 受賞
2008年 米フォーチュン誌「世界ビジネス界で最強の女性50人」選出