Episode1
グザヴィエ・ドランの分身的役柄を演じて
「ドランの作品は最初からオンタイムで観ていて、すごいと思っていたので、ずっと一緒にやりたいと思っていた。でも、彼の作品に出たくない俳優なんているのかな? 好き嫌いはあるにせよ、作品を見れば、彼の映画では常に俳優が演出の中心に置かれているのが、手に取るようにわかる。いわば俳優にとっては特権的な映画なので、皆、僕を羨ましいと思っているでしょう。ただし、俳優に対する要求はものすごく細かい(笑) 。彼の演出方法はかなり特殊。僕自身、こういう演技指導をされたのは初めてでした。常に介入するというか、カメラを回していても、『そこのセリフは』ってセットに入ってきて、セリフのトーンや表情まで全部自分でやってみせてしまうんです。俳優からすると、自分たちがマリオネットになったような気持ちになるところもあるのは確か。でもそれに順応すべきだし、僕にはむしろ快適なくらいでした。彼の主張を受け入れつつ、自分自身をなくさないように演じている。いわば、監督と俳優の二人で一つのものを作り上げていく感覚です。更に言えば僕が演じたルイという主人公は、ドランにとっての分身であり、原作者にとっての分身であり、さらに僕の分身でもある。3人で作り上げた人物ですね」
Interview: AYAKO ISHIZU
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ギャスパー・ウリエル
1984年生まれ。両親はデザイナー。『ジェヴォータンの獣』(’01)でデビューし、『かげろう』(’03)で脚光を浴び、以降、フランスの実力派若手スターとして君臨。今年はリリー・ローズ・デップと共演する「ダンサー(原題)」も公開予定。 -
『たかが世界の終わり』
自分の死期を告げるため、12年ぶりに帰郷したルイ(ギャスパー)。母(ナタリー・バイ)や妹(レア・セドゥ)は喜ぶものの、兄(ヴァンサン・カッセル)やその妻(マリオン・コティヤール)とは互いの距離を埋められぬまま時が流れ、ついに家族の感情が爆発する。2月11日より、新宿武蔵野館ほかで公開。http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/ -
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