ブルボンヌ&よしひろまさみちの、オスカーぶった斬り対談!
現地時間2月22日(日)に授賞式が迫った第87回アカデミー賞。映画と女優に一家言ありの女装パフォーマー・ブルボンヌさんと、映画ライターのよしひろまさみちさんが、今年のオスカーをぶった斬り!
アイドル化したカンバーバッチは受賞なし?
B:主演男優賞にはベネディクト・カンバーバッチがいるけど、いけそうなの~?
Y:カンバーバッチは絶対に無理ね。アイドル俳優になっちゃったから。アイドル化した俳優ってアカデミーは嫌うのよ。むしろエディ・レッドメインのほうが可能性は残ってるわ。
B:『スター・トレック イントゥ・ダークネス』とか出ちゃったらもうダメなのね~。あたしはカンバーバッチって好みではないんだけど、なんか色気があるのはわかるわ。 なんなのかしらね、アレ。
Y:売れてる人って色気が出るのよね。バッチさんは残念だけど、あと10年ぐらい塩漬けになってもらって(笑)。いい作品のオファーもバンバンくるだろうし、ビッグムービーにも呼ばれるだろうから。そうなったときは、アカデミー会員は完全スルーなんだけどね。だけどこの人は賞に頼らなくても生きていけるだろうっていうのもあるし。
B:でもやっぱりオスカーは欲しいんじゃないの?
Y:イギリスの俳優さんってオスカーは欲しいかもしれないけど、演技すること自体が大事っていう人が多いの。カンバーバッチも、いまハリウッドでイギリス俳優が勢いがある理由を「僕らは子どものころからシェイクスピアに親しんでるからじゃない」って言ってたわ。
B:あら~、おしゃれじゃない。
Y:演技の勉強をしなくても、学校で読まされるものがシェイクスピアだからって。文学に最初から触れてるのは大きいんじゃないかっていうのは説得力あるわね。
B:でもなんか鼻につくわね。そんなこと言ってみたいわ。
Y:エディもそうだけど、このふたり、育ちがいいのよ。エディなんてウィリアム王子と同じイートン校にいたでしょう。イギリスって階級社会だから上にいけるのはそういう人なのよ。
B:日本の女子もそこに惹かれちゃうわよね~、おぼっちゃま系大好きだから。少々、顔が馬みたいでもね。
Y:『6才のボク~』がもし作品賞を獲ったら、主演男優のほうは『バードマン~』のマイケル・キートンになるかもっていうのが順当な予測なのよ。エディはまだ若いから先があるし、過大評価になっちゃうから。
B:この人、これが最後だから穫らせてあげなきゃっていうのは、女装界でもあるのよ。「もう足腰弱ってるからやらせてあげましょうよ」みたいなのが。老人は大切にって、どこの業界でも同じね。
Y:63歳のマイケル・キートンに穫らせてあげないとかわいそうじゃないっていうね。賞レースの序盤では『フォックスキャッチャー』のスティーブ・カレルもいけるんじゃないかって言われてたけど、マイケルに比べれば52歳のスティーブもまだ先がある。すごくいい映画だったし、彼の演技も素晴らしいんだけど、これができたならまだいけるよねって。あとオスカーって候補になっただけでギャラも上がるから。
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ブルボンヌ(写真右)/女装パフォーマー・ライター。切れ味鋭い独特の語り口で、『オレンジページ』『シティリビング』『ケトル』などで連載中。NHKラジオ第1『午後のまりやーじゅ』木曜パーソナリティーを担当するほか、Eテレ『ハートネットTV』、NHK総合『週刊ニュース深読み』『探検バクモン “性”をめぐる大冒険』などに出演。新宿2丁目のMIXバー「Campy! bar」プロデュースも手掛ける。
よしひろまさみち(写真左)/映画ライター。「エル・オンライン」『エル・ジャポン』をはじめ『Sweet』『SPA!』など多数の雑誌で執筆。日テレ系『スッキリ!!』で月一度のおすすめ映画紹介のほか、テレビ、ラジオなどにも出演。