特集 2015/2/3(火)
Oscar Talk Battle 2015

ブルボンヌ&よしひろまさみちの、オスカーぶった斬り対談!

現地時間2月22日(日)に授賞式が迫った第87回アカデミー賞。映画と女優に一家言ありの女装パフォーマー・ブルボンヌさんと、映画ライターのよしひろまさみちさんが、今年のオスカーをぶった斬り!

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『6才のボクが、大人になるまで。』(写真上・中)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(写真下) (C)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved. (C) 2014 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

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『6才のボク~』と『バードマン~』が有力!

ブルボンヌさん(以下B):今年のオスカーのノミネート作品なんだけど、アタシは女優業、じゃなくて女装業が忙しすぎて実はほとんど観てないの~。なので今回は、餅は餅屋ということで、よしひろちゃんに映画の解説をお願いして、アタシは横から水を入れるババアの役をやらせていただくわ。今年の作品賞はどれが獲りそうなの?
 
よしひろさん(以下Y):本命は『6才のボクが、大人になるまで。』なんだけど、ここへきて『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』も有力になってきてるの。『6才のボク~』は出来もよくて、12年間撮り続けたってことは素晴らしいんだけど、じゃあ10年越しの企画をやればオスカーが穫れるのかっていう話になるとちょっと微妙だねってことなのよ。
 
B:企画力ありきになっちゃうってことよね。
 
Y:12年かけて撮ったことで良さが出たっていう奇跡的な作品なんだけどね。しかし父親役のイーサン・ホーク、老けたわよ~。イーサンの額の縦ジワがもうタトゥーなんじゃないかと疑いたくなるほどの劣化ぶり! アタシのなかでイーサンっていったら『いまを生きる』の困り顔のかわいい子だったのよ。それが最近は困り顔のおじさんになっちゃって。母親役のパトリシア・アークエットもリアルに老けていってるわ。
 
B:あら~、パトリシア・アークエットの12年の軌跡が見られるなんて、素晴らしいことじゃない。『エルム街の悪夢3 惨劇の館』でデビューして「ミディアム」で霊能者になった女優よ。昔から険のある顔してるのよ、パトリシア。
 
Y:久しぶりに普通のお母さんの役で、貫禄たっぷりよ。
 
B:『バードマン~』のほうは面白いの?
 
Y:すごい映画よ。『バードマン~』は実は、約2時間をワンカットに見せてるの。もちろん2時間長回しじゃないんだけど、巧く隠してて、のりしろが見えない。役者の立ち位置が1ミリでもずれると場面がつながらないから、大変だったらしいわ。脚本もよく書けてるし。
 
B:ワンカット風味なわけね。日本の匠の技!みたいな。ストーリーはあれでしょ、みんな大好きな“再起をはかる”系でしょ。
 
Y:そう。かつてバードマンっていうヒーロー役を演じていた俳優が、ブロードウェイで再起をはかろうとするんだけど、自分よりも売れてる俳優と対峙しなきゃいけなくなって、嫉妬が絡んでくるの。家族ドラマでもあり、男のキャリアの話でもあり。それを実際に『バットマン』をやってたマイケル・キートンが演じてるのね。作品の力としては『6才のボク~』よりも『バードマン~』のほうが強いわ。ただ、オスカーは実話ベースか、ものすごいオリジナルなストーリーの作品が強くて、コメディは外れる傾向があるの。そう考えると、『バードマン~』はブラックコメディだから作品賞は難しいかも。
 
B:よしひろちゃんとしては、どっちが獲ってもアリってことなのよね。
 
Y:そうなんだけど、どちらかというと『6才のボク~』にあげたい。なんでかっていうと、これを逃すとリチャード・リンクレイター監督が、一生もうオスカーを穫れない可能性があるのね。『バードマン~』のイニャリトゥ監督はこの先まだ穫れるから。今も確か、カナダの山奥でディカプリオと新作を撮影中よ。

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  • photo : Takaaki Miura

    ブルボンヌ(写真右)/女装パフォーマー・ライター。切れ味鋭い独特の語り口で、『オレンジページ』『シティリビング』『ケトル』などで連載中。NHKラジオ第1『午後のまりやーじゅ』木曜パーソナリティーを担当するほか、Eテレ『ハートネットTV』、NHK総合『週刊ニュース深読み』『探検バクモン “性”をめぐる大冒険』などに出演。新宿2丁目のMIXバー「Campy! bar」プロデュースも手掛ける。
     
    よしひろまさみち(写真左)/映画ライター。「エル・オンライン」『エル・ジャポン』をはじめ『Sweet』『SPA!』など多数の雑誌で執筆。日テレ系『スッキリ!!』で月一度のおすすめ映画紹介のほか、テレビ、ラジオなどにも出演。

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