ヒラリー落選に未だ沈黙中。ビヨンセが政治へ傾倒していった8年間を分析
レディー・ガガやケイティ・ペリーなど、ヒラリー・クリントンの選挙選に力を注いだセレブは数多くいるが、なかでもビヨンセは別格。Jay-Zとともに、オバマ大統領時代から全面的なサポートを惜しまず、この8年間、生み出す作品の政治色もどんどん濃くなっていた。今年リリースしたアルバム『レモネード』のミュージックビデオやツアーは、黒人女性としてのアーティスティックな面で彼女の理解と功績の進化を支えている。そしてパフォーマーとしての彼女の進化と並行して、公の場でのビヨンセの政治的な行動も変化し、成熟していった。今回、ヒラリーが破れてしまったことで、数多くの民主党支持セレブが嘆きのツイートを行っていたが、投票から約2日経った11月11日現在も、ビヨンセは沈黙を貫いている。彼女がいかに政治に傾倒していったか、その変遷を確認しながら、次なるアクションを待ちたい。
4月に『レモネード』がリリースされたときには、この歌詞は個人的なものに聞こえた。しかし11月に聞くと極めて政治的に聞こえる。この授賞式では、彼女の後に他のアーティストたちがパフォーマンスした。しかしそれらによって、ビヨンセのメッセージが薄らぐことはなかった。女性は憲法で保障された権利を、自分たちを守るために使わなくてはならない。そして彼女たちを脅かす男性たちと戦うために使わなくてはならないのである。
そして最後の政治的な行動は投票日直前の週末に行われた。ポルカドットのパンツスーツを着たビヨンセは「私は『彼女と共にいる』」と宣言したのである。そして私たちにバックステージでの2人を想像して楽しませてくれた。ビヨンセがヒラリーに大きな声で歌うようにコーチしているシーンを。
Middle fingers up, put them hands high
中指を立てて、手を上に掲げる
Wave it in his face, tell him, boy, bye
顔の前で振りかざして言うのよ、さようならってね
Tell him boy, bye, boy, bye, middle fingers up
言ってやるの、さようならって 中指を立ててね
I ain't thinking 'bout you.
あんたのことなんて考えてもないわ
ビヨンセ「Sorry」より
Translation & Text: Yoko Nagasaka Photo: Getty Images