カウンセリングの臨床では、人間関係の悩みに関する相談内容が最も多く、その比率は限りなく１００％に近いです。病気や仕事の悩みであっても、結局は人間関係の問題に行き着くことがほとんど。職場も然り、「人間関係ばかりにエネルギーを奪われて、本来の仕事に打ち込めず、アホらしい！」という嘆きをよく聞きます。ところが、人間関係は実は大事な仕事の一部です。それを仕事と切り離そうとするから混乱が生じ、人間関係が思うようにいかなくなることで鬱々としてきてしまいます。人間関係も仕事の一部と割り切れば、そこにエネルギーを注ぐことは、仕事で与えられたプロジェクトにエネルギーを注ぐことと同様に重要な取り組みであって、決して無駄な労力ではないのです。ですので、人間関係を改善しようと最善の努力をしてきたけれど、どうにもこうにもうまくいかない、という場合は、転職という選択肢は当然アリです。ただし、その努力をせずに、仕事と関係のないことで煩わされたくない、という面倒くささから転職を考えているのなら、転職先でも同じ課題に向き合う可能性は大きいです。人間関係を理由に転職を繰り返さないためにも、それも仕事のうちと割り切って、うまく対処する方法を身につけることが好ましいでしょう。