文化人が選ぶ! 2015年のMYベスト映画【小島慶子さん編】
映画好きなエル読者の投票により、その年のベスト映画を決める「ELLEシネマ大賞2015」がいよいよ今年から開催! 読者投票に先駆けて、各界で活躍する文化人、著名人が2015年のベスト映画を選出。今回は、タレント、エッセイストとして活躍する小島慶子さんが選んだベスト映画3本をお届け!
小島慶子さんのBEST3
『妻への家路』
チャン・イーモウ監督、コン・リー演じる記憶喪失の妻、チェン・ダオミン演じるその夫という、最強のラインナップ。政府による弾圧で長い間拘束されていた夫が20年ぶりに命がけで戻った家には、心労が重なって精神を病んだ妻が待っていた。彼女が誰よりも会いたがっているのは、連れ去られた夫。だけどすぐ目の前にいる男性がその愛しい夫だとは、もう分からない……という切なすぎる展開。妻に思い出してもらおうと手をつくす夫の姿は涙なくして見られない。とくに、ダオ様が古ぼけたピアノを弾くシーンは“哀愁セクシー”の極み! 時代に翻弄された夫婦の物語でもあるけれど、誰しも自分のイメージの中の相手しか見ていないのかも、という深い問いを残してくれる。記憶の中の自分を愛し続ける妻のそばで孤独を深める夫……という永遠のすれ違いは、もしかしたら愛の正体なのかもしれない。彼と喧嘩したときに見ると、味わい倍増だ。
-
小島慶子/1972年、オーストラリア生まれ。学習院大学卒業後、1995年、TBSに入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオに出演。1999年に第36回ギャラクシー賞DJパーソナリティー部門を受賞。2010年にTBSを退社後、タレント、エッセイストとして幅広く活躍中。二児の母。著書に『女たちの武装解除』(光文社刊)、『大黒柱マザー』(双葉社刊)、『わたしの神様』(幻冬舎刊)ほか多数。ヤマザキマリ氏との共著『その「グローバル教育」で大丈夫?』(朝日新聞出版刊)が2015年12月7日(月)発売。