特集
2015/11/19(木)
ELLE CINEMA AWARDS 2015

映画ジャーナリストが選ぶ! 2015年のMYベスト映画【後編】

映画好きなエル読者の投票により、その年のベスト映画を決める「ELLEシネマ大賞2015」がいよいよ今年から開催! 読者投票に先駆けて、エルでおなじみの映画ジャーナリスト9名が、部門別に2015年のベスト映画&俳優を選出。映画を知り尽くしたプロたちが選んだベスト3を、前編、後編の2回に分けてお届けします。

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『野火』 (c)SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

アート映画部門BEST3/久保玲子さん

『野火』
邦画との良い出会いに恵まれた今年。ところが幸運な出会いなんちゅー生易しい言葉が吹っ飛ぶのが『野火』(原作・大岡昇平)。カメラ以外は主演から総てをこなした塚本晋也監督の超低予算映画は、230万の戦没日本兵のうち半数が餓死したレイテ島での生き地獄を“今、撮らねば、今、語らねば!”という鬼気迫る演出で描き切って観客の腸(はらわた)を掴みます。監督の想いを意気に感じたリリー・フランキーら手弁当出演にも胸を熱くさせられました。
 
『夏をゆく人々』
終末論を信じて娘たちを俗世間から遠ざける偏屈オヤジの元、養蜂を中心にトスカーナの自然と共存する一家。その働き頭でシャイな長女の思春期ならではのセンシビリティを、キラキラ輝く夏の水辺を舞台に奇跡的にすくい撮ったイタリアの新鋭女性監督の逸品。『007』史上、最高齢のボンドガール役で話題のモニカ・ベルッチが、ここでは銀髪ウィッグなびかせた妖精コスプレで少女の水先案内人となり、観客の目も楽しませてもくれます。
 
『黒衣の刺客』
墨絵のごとき夜明けの湖畔で、はたまた雅な宮廷の御簾の向うで、スー・チー演じる女刺客と悩める暴君チャン・チェンが惑う……。名手リー・ピンビンのめくるめくロングショットに陶然!となる静謐な武侠映画。光と闇に目を凝らし、耳を澄ませて身を任せれば、スクリーンの隅々に漂う濃密な感情のうねりと砂のように流れる時間に吸い込まれてゆく。台湾ニューウェイヴ時代からの匠を率いたホウ・シャオシェンの甘美な体感型映画の集大成!
 
●ベスト男優
ジェイク・ギレンホール(『ナイトクローラー』)
『複製された男』も巧かったが、報道スクープ専門のパパラッチ・スリラーでの下衆っぷりが半端なかったギレンホール。目玉をぎょろつかせたハ虫類顔を進化させ、笑いと戦慄の両方を誘う怪演! カメレオン俳優ホアキン・フェニックスの後を狙うか!?
 
●ベスト女優
アンヌ・ドルヴァル(『Mommy/マミー』)
『マイ・マザー』に続き、鬼才グザヴィエ・ドランの偏愛を一身に受ける母親役を生きるドルヴァル。愛しい息子のためならエロ親父にもセクシー攻撃を仕掛ける情の深い母親っぷりに終いには涙腺崩壊へと導かれ……。

  • 久保玲子/B級映画も好物の雑食系ライター。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では、この夏惜しくも鬼籍に入ったサー・クリストファー・リー様が回想シーン等で登場されはしまいかと密かに期待しているところ。

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