特集 2015/11/27(金)
早耳調査隊が行く!

【最終回】大統領の消された妹:アメリカのファッション史を築いたケネディ家の女たちの光と影

ジャクリーン・ケネディ・オナシス、その妹のリー・ラジウィル、ジョン・F・ケネディJrに嫁いだキャロリン・ベセット・ケネディ。ファッション・アイコンとして今もなお絶大な人気を誇り、現在も影響を与えているケネディ家の女性たち。でもその陰で人知れず存在を葬られた長女がいた……。華麗なる一族に隠された悲劇の長女、ローズ・マリーの人生が最新の資料に基づき1冊の本「ROSEMARY The Hidden Kennedy Daughter」として出版されたばかりの今、ケネディ家の女性たちのパワーを振りかえれば、その分だけ強かった影の部分も見えてくる……。最終回は大統領の妹、ローズマリーの“隠された”人生の物語。

写真左より ジーン・ケネディ(Jean Kennedy)、ローズマリー・ケネディ(Rose Marie Kennedy)、ジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)

偏見と差別により起こった悲劇

当時は医療ミスによる発達障害であっても、「遺伝性なのではないか」と恐れられ、まともな治療も受けさせないのが当たり前。親たちにとってそんな現実が到底受け入れられるはずもない。教育さえ施せばなんとかなるのではないか。母ローズは望みをかけ、近い身内以外にローズマリーの現状を悟られないよう手を尽くした。公立の養護学校に入れるなど言語道断。ケネディ家は家庭教師、看護師、修道女、カウンセラーなどありとあらゆる手を尽くした。きょうだいたちもローズマリーの事情を察していた。15歳になるとローズマリーはロードアイランド州プロヴィデンスにある聖心女子学院へ送られた。

 
ケネディ家の娘は高等教育を聖心女子学院で済ませることに決まっていたし、ケネディ家は聖心修道会に多額の献金をしていたため、他の生徒と別にされ、修道女2人と専任の教師1名がつきっきりで別の教室でひとり学んだ。その甲斐あってか、彼女はそれから4年生程度の読み書き、綴り、計算ができるようになった。またローズマリーは両親を愛し、2人を喜ばせる為なら何でもした。両親からは度々手紙が届いた。教師は特に母ローズからの手紙にびっくりした。上流婦人ならば手紙はペン書きの美しい書体で届くもの。しかしローズマリーが美しい筆記体を読むことができなかったので、母はタイプで打っていたのだ。
 
兄ジョン・F・ケネディがその年、ローズマリーをダンスパーティーに同伴した。思春期に達したローズマリーは美しく成長したが、どうして兄弟ではなく他の青年がダンスに誘わないのか、どうしていつも家族の会話やスポーツについていけないのか、彼女は悩みだした。そのため時々説明のつかない怒りを爆発させることもあった。しかし一瞬の激しさを見せた後は、もとの大人しいローズマリーに戻るのだった。

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Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada

  • (参考文献)
    ローレンス・リーマー「ケネディ家の女たち」
    Edward Klien 「Just Jackie : Her Private Years」 
    ネリー・ブライ「ケネディ家の悪夢 セックスとスキャンダルにまみれた3世代の男たち」 
    クリント・ヒル「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」

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