特集
2015/11/29(日)
FROM ELLE WORLD

UK発のトランスジェンダー・コラムニスト、ライアノン・スタイルズの告白

今年6月、世界中で大反響を呼んだケイトリン・ジェンナー(旧名ブルース・ジェンナー)の『ヴァニティ・フェア』誌7月号のカバー。元オリンピック選手の、自身のジェンダーに関する告白に衝撃を受け、勇気づけられた人も多いはず。UK版エルでは今秋からトランスジェンダーに関する連載コラムをスタート。元ドラァグクイーンのパフォーマーとして活躍し、30歳で女性として生きることを決意したトランスジェンダー、ライアノン・スタイルズによるそのコラムは大きな話題を呼んでいる。ライアノン自身の経験を踏まえ、本当の意味での“トランスジェンダー元年”ともいえる2015年について総括した。 

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ライアノン・スタイルズ近影。

トランスジェンダーが大衆のものとなった2015年

11月初旬、ウィル・ヤングが新譜「ブレイブ・マン」をリリース。同時に発表されたPVでは裸でブライトンの町中を歩き回るトランスジェンダーの男性が登場し、衝撃的内容だとして話題を呼んでいる。今年はメインストリームのメディアやポップ・カルチャーでトランスジェンダーが取り上げられ、かつてなく注目された年だった。
 
少しさかのぼるが、2011年にイギリスでは4チャンネルで「My Transsexual Summer(私のトランスセクシャルな夏)」というシリーズが放送された。年齢も性転換の過程も異なる7人のトランスジェンダーの人々の日常を追うドキュメンタリーで、これはトランスの人々が他の人々同様、自分の人生を歩むれっきとした存在証明として紹介されたはじめてのことだったと思う。同シリーズの放映によってトランスジェンダーに関する話題がお茶の間に持ち込まれたし、この番組のおかげで私は今の自分を発見し、受け入れることができた。
 
私が青春時代を過ごした90年代、トランスジェンダーの人々はゴシップ紙の見出しで「怪物上司、彼女は男だった」とか、「暴かれた彼女の秘密」などと書き立てられたものだった。トランスの人々はお笑いぐさか、奇人のように思われていて、結果として多くの当事者たちが自分の感情を抑圧してきただろうし、命を絶ってしまう人もたくさんいたと思う。でも、それから世間の反応は少しずつ変化していった。
 
2013年にはトランスのジャーナリスト、パリス・リーがイギリスでカミングアウト済みのLGBTで影響力のある人物を集めた『インディペンデント』紙の「ピンク・リスト」でトップに。また、次の年にはトランスの女優、ラヴァーン・コックスが「トランスジェンダーの転換点」という見出しと共に『Time Magazine』の表紙に登場した。そして2015年には、おそらく彼女について耳にしたことがあると思うが、ケイトリン・ジェンナーが『ヴァニティ・フェア』誌7月号の表紙で自身の性転換を表明したことによって、世界中でメルトダウンが起き、トランスジェンダーの存在が幅広く認知されるようになった。これらの女性たちはまさしくアイコンであり、将来、彼女たちは我々の存在を知らしめた立役者として思い出されることになるだろう。

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Translation & Text: Naoko Ogata

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