ELLE MEN
2016/11/15(火)

歌舞伎は楽しくなくちゃいけない! 市川海老蔵が語る、素顔の“EBIZO”12の質問

自分にキャッチコピーをつけるとしたら、「10代、20代の自分はベルセルク、30代は脱皮」と話す十一代目市川海老蔵。少し遠かった歌舞伎を、身近なものに……。歌舞伎の可能性をとことんまで広げようとするスターが素顔で語ってくれた、歌舞伎について、番外編のプライベートQ&Aと12の質問にアンサー!

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上 古典への誘い「勧進帳」2016 photo:Osamu Nakamura
下 「GRAND JAPAN THEATER」の一環として、2016年3月NYのカーネギーホールで初の歌舞伎公演を披露。「春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)」 photo:Masahito Ono

パリは衣装を着ていても、裸で挑む感じがある

父、十二代目市川團十郎丈が、生前こよなく愛した石川県小松市。歌舞伎十八番の内『勧進帳』のふるさとで、この10月、悲願だった亡父の思いを継いで能楽舞囃子『安宅』とともに『勧進帳』の公演を実現させた市川海老蔵。とりわけ日本で人気が高い「源義経と弁慶主従」のストーリーでは、盟友・中村獅童との共演、妹で日本舞踊市川流の市川ぼたんも舞踊で華を添え、そのときの気持ちをブログでも綴っている。なぜ、「古典」にこだわるのか。

Q1 2012年から始めた「古典への誘い」の自主公演など、海老蔵さんが古典を大事にされる理由は?

古典がまずは第一。若い世代の方々にも古典の深みを楽しんでいただくために昨今、大きなウェイトを占めていて、それをどう見せていくかということだと考えているんです。そもそも、今、日本人がしっかりした日本語を喋れない。舞台で「かように候ものは」と言われても、どういう意味か確信をもって聞けないじゃないですか。そういう中で、我々やる側もそうなんですけど、勉強をしなくてはいけない。古典しか見たことがない方もいっぱいいらっしゃるけれど、比較的年齢を重ねた方が多い。ですから、我々世代とか、ちょっと上とか、ちょっと下はまあ無垢みたいなもんですからね日本の文化に対してね。だからこそ面白いものを提供して、それを「もっと勉強してみたいな」と思っていただいて、歌舞伎座で歌舞伎を見るということ。誘って行くということがひとつ大事なんじゃないかと思うんですよね。

Q2 バレエやオペラ以外の上演が非常に珍しいパリ・オペラ座をはじめ、アジア、NYと、海外公演にも積極的ですね。それぞれの国でオーディエンスの反応はどう違いますか?

ヨーロッパだと、パリとイタリア、ロンドンで公演をやらせて頂いたんですが、距離は近いのに歴然と違いますね。パリは日本文化に対して、日本人よりも非常に知識と理解が深い人間が多いという状況にびっくりする。公演で行った当時は、「浮世絵、盆栽、源氏物語」この3つがすごくフランス人のハートを掴んでいたんですよね。私はそうした時期に運よく行けた。

歌舞伎公演はオペラ座とシャイヨー宮で2度やりましたが、彼らは「体感」を重視するんです。イヤホンをつけず、字幕で見たいという。つまり、しっかりモノを見たい。イヤホンで音を遮って、別の音で聴きたいわけじゃないという感覚。生身のものを生で感じたいという、エロティックさを感じるんです。そのへんでいうと、イギリスというのは、次々ありとあらゆる国の芸術、舞台が集まってくるじゃないですか。そうすると、パリとはまた違って、「これをいかに楽しめるか」「これは何が面白いのか」「これはどういうものなのか」「これは何なんだ」という方が先行する。だから、空間と闘うのがロンドン。パリは衣装を着ていても、裸で挑む感じがある。パリは“頑張りすぎたら負け”というか、基本に忠実な古典をやらないといけない感じがするんです。

その分、ロンドンは多少崩壊しても、日本から持っていけば面白くなるという感覚はありますね。イタリアはパッション、かなり情熱。「おお!これは面白いね、面白いじゃん!」というノリが大事(笑)。そういう違いは、的確に感じました。

だから海外はもちろん日本も、同じ演目でも多少見せ方は変えるんです。エリアによってというよりは“感覚”。創るときの“感覚”、によるところが大きいですね。

Photo : Yusuke Miyake Movie : HIROBA Styling : Atsushi Ohkubo Makeup : Isao TSUGE(KOOGEN)  
 
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参照文献:『海老蔵そして團十郎』(関容子著 文藝春秋刊) 『市川海老蔵 眼に見えない大切なもの』(講談社刊) 『そして、海老蔵』(村松友視著 世界文化社刊) 

  • 市川海老蔵 Ebizo Ichikawa
    歌舞伎役者(屋号 成田屋)、俳優。故十二代目市川團十郎の長男として、1977年12月6日東京に生まれる。5歳で初お目見得を果たし、7歳で『外郎売』(歌舞伎座)貴甘坊役で七代目市川新之助、2004年に十一代目市川海老蔵を襲名。歌舞伎公演を中心に舞台や映画、ドラマなど多方面で活躍し、2011年公開の主演映画『一命』ではカンヌ国際映画祭にもノミネート。2007年のパリ・オペラ座での親子共演による歌舞伎公演をはじめ、自主公演「JAPAN THEATER」の海外公演にも熱心に取り組み、シンガポール、UAEに次いで、2016年3月にはNYカーネギー・ホールでの「GRAND JAPAN  THEATER」公演も大きな話題を呼ぶ。2017年2月4日(土)~20日(月)には、市川海老蔵×リリー・フランキー×三池崇史、寺島しのぶの共演による“座頭市”をテーマに描く六本木歌舞伎「座頭市(仮)」に出演予定。
     
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