エル・エディターが振り返り! 2015年のシネマ座談会
いよいよ今年からスタートする「ELLEシネマ大賞2015」。読者投票で1年のベスト映画を決めるこのアワードに先駆けて、エルのカルチャー担当エディターが2015年の映画を振り返る座談会を実施。今年の映画界のトレンドや話題作、私的ベストなどをとことん語ります!
インディーズ作品が奮闘したオスカー
M:オスカー絡みでいうと、私はダントツで『セッション』が面白かったです。
K:名門音楽学校の教師と生徒のバトルがテーマですが、あれは身につまされるというか、観ているだけで主人公の立場になってうっかり洗脳されそうになるんですよ……。
N:私は合計3回ぐらい観ましたけど、劇場では上映後に拍手が出てましたよ。劇中で、生徒をいちばんダメにする言葉は「Good job(よくやった)」だっていう台詞が印象的でした。疲れたときに観ると、カンフル剤のように効いて、たちまち「やる気が出る」という効用も(笑)。
S:『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』とは別の意味で、SM映画ですよね(笑)。
Ke:主人公の兄が優秀で、っていう、マゾになりがちな家族が描かれていて、そこも怖かったです(笑)。
M:J・K・シモンズ演じる鬼教官、完全にキャラですよね。とんでもない暴言を吐くたびに、個人的には笑えてしまいました。
N:ラストシーンでは、この人たちどこまでいくの、みたいな(笑)。
Ka:あのラストがあったからこそ、傑作になったんですよね。映画の真骨頂というか。
M:作品賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』もすごく面白かったんですけど、あちらは映画としての完成度が高いというか、構成も、見せ方も、俳優の演技も、すべての要素のクオリティが高いという印象でした。
Ka:音楽も素晴らしかった。ドラムがすごく印象的で。『バードマン~』は洗練された映画ですね。
N:作品も味わい深く革新的で、全カットがワンシーンに見える幻想的な長まわしには痺れました。役者はみんな名演でしたが、エドワード・ノートンは久しぶりによかったですね。オスカーの助演男優賞を獲ってほしいと思ったけど、そのあとに『セッション』のJ・K・シモンズを観たら、あ、無理だと(笑)。
Ke:オスカー関連だと、受賞は逃しましたけど『フォックスキャッチャー』も怖かったですよ。『セッション』と似ていて、洗脳、コントロールされる男の話です。
Ka:チャニング・テイタムとスティーヴ・カレルが真夜中に男ふたりでトレーニングするシーンがあるんですけど、すごくいやらしいんです(笑)。息づかいとかが生々しい。パトロンと教わる側、しかも男同士っていう関係が絡み合っていて。
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エディターN:フィーチャー・ディレクター。長年、映画を担当。今年は『マッドマックス~』『野火』『セッション』に痺れ、『サンドラの週末』『バードマン~』『Mommy/マミー』に酔い、『裁かれるは善人のみ』『アンジェリカの微笑み』に陶酔! あと『バクマン。』はラッコ11号のスピンオフを希望(笑)♪
エディターKa:カルチャー担当。今年のベスト映画は『サンドラの週末』『フレンチアルプスで起きたこと』『岸辺の旅』。ベスト海外ドラマは「アフェア 情事の行方」。すべて女性の内なる強さと、夫婦の関係性を描いていて心が痛キモ! 私は未婚ですが(笑)。
エディターKe:ファッション&カルチャー担当。今年のベスト映画は『Ex Machina(原題)』。でも、おそらく11月全米公開の『The Danish Girl(原題)』が個人的ベストを塗り替えるだろうと推測。ふたつともアリシア・ヴィキャンデルが主演で、現在彼女のにわかファン。
エディターS:“it”ボーイ&ガールの発掘に余念のないカルチャー担当。今年、いちばんキュンキュンしたのは『きっと、星のせいじゃない。』のアンセル・エルゴート。
エディターM:カルチャー担当。今年のベスト映画は『セッション』と『マッドマックス~』。スクリーンから伝わる血と汗、熱気と狂気にアドレナリンMAX!