特集
2015/11/16(月)
ELLE CINEMA AWARDS 2015

映画ジャーナリストが選ぶ! 2015年のMYベスト映画【前編】

映画好きなエル読者の投票により、その年のベスト映画を決める「ELLEシネマ大賞2015」がいよいよ今年から開催! 読者投票に先駆けて、エルでおなじみの映画ジャーナリスト9名が、部門別に2015年のベスト映画&俳優を選出。映画を知り尽くしたプロたちが選んだベスト3を、前編、後編の2回に分けてお届けします。

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『サンドラの週末』 2015年11月27日(金)DVD発売  (C)Les Films du Fleuve -Archipel 35 -Bim Distribuzione -Eyeworks -RTBF(Télévisions, belge) -France 2 Cinéma

フランス映画部門BEST3/石津文子さん

『サンドラの週末』
ダルデンヌ兄弟はベルギー人だが、フランスを舞台にフランスを代表する女優で、フランスの労働者問題を扱った、傑作。病から職場である工場に復帰した途端、リストラに直面したサンドラ。彼女は仕事を守るため、同僚にボーナスを返上してくれるよう説得して回ることになる。自分の利益か、他人の利益か。文字通り倒れたりしながらも、誰もが生きるためにもがいていることを少しずつ確認していく。過酷な状況ながら、サンドラの逞しさがさわやか。
 
『アクトレス~女たちの舞台~』
女優三人のうまさを堪能。演劇賞のため、スイスの山岳リゾート地シルス・マリアで対峙することになる、国際的大女優とそのマネージャー、ハリウッドのイケイケ若手女優。ジュリエット・ビノシュのセルフパロディめいた部分も面白いが、特に女優でない女を演じるクリステン・スチュワートが、女優としての鋭利さを見せている。畏怖を抱かせるシルス・マリア(原題もこれ)の山々の前では、年齢に意味などないのだろう。女優を愛するアサイヤスの進化。
 
『サンローラン』
稀代の天才サンローラン。60年代末からは名声の影でスランプに悩み、愛憎関係に傷つき、薬物に溺れ、死を考えるも、77年にサファリ・ルックで復活するまでの約10年を描く。乱交パーティに参加したりと一見スキャンダラスなためブランドから非公認となってしまったが、この鮮やかさこそサンローラン! 愛と美を求めつつ、快楽に溺れていくサンローランをゴージャスな絵巻物のように見せて行くベルトラン・ボネロは、同時に人生の儚さも切り取っていく。
 
●ベスト男優
ギャスパー・ウリエル(『サンローラン』)
天才の持つ儚さと傷つきやすさは本来持っているギャスパーだが、さらに男も女も愛し、サンローランの貪欲さも見せている。ギャスパーの姿を通して、サンローランは現代社会の光源氏だったのだと思い知らされた。美しい!
 
●ベスト女優
マリオン・コティヤール(『サンドラの週末』)
家のローンに悩み、身も心も弱っているが、妻として母として家庭は守りたい。そんな市井の女性の弱さ、強さをマリオンが生々しく表現。美を封印しているけれど、それでも徐々に人間として逞しくなっていく姿はやはり神々しい。

  • 石津文子/映画評論家。マダムアヤコとしてコラムも執筆。カンヌをはじめ映画祭をめぐりすぎ、家が片づかないのが悩み。この冬は『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』と『007 スペクター』が楽しみ! 舞台や歌舞伎も大好きで、先日は稲垣吾郎主演「No.9 不滅の旋律」に感涙。

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