オスカー女優、ヒラリー・スワンクが選ぶ今年のベスト映画
読者が選ぶ今年のNo.1映画「ELLEシネマ大賞」。年末の投票に先駆けて、続々と著名人や映画関係者からの私的ベストを公開中! その皮切りとして、あのオスカー女優、ヒラリー・スワンクが特別参戦。日本では2015年の公開となる、彼女の最新主演作『サヨナラの代わりに』(11月7日公開)の見どころとともに、自身の出演作以外でセレクトした今年のNo.1映画についても熱く語る!
先日行われた東京国際映画祭のために10年ぶりに来日したヒラリー。大物女優のオーラを放ちながらも、信じられないほどの気さくな人柄で取材陣は皆大感激。
新しいことを教えてくれるきっかけになるのが映画というもの
―『サヨナラの代わりに』では主演だけでなく、プロデューサーも兼任していますが、原作であるミシェル・ウィルジェンの小説「You’re Not You」のどんなところに魅かれたのでしょうか。
まず何より、とてもパワフルでいろんなことを考えさせられる作品だと思ったの。逆境のなかでの友情・愛情について描いた作品なのだけど、病気のことをよく知ってもらえる、いいきっかけになるとも思ったわ。現在、ALSの(筋萎縮性側索硬化症)患者数は確実に増えていますが、私自身、本を読むまであまりよく知らなかったのだから。
―最近ではアイスバケツ・チャレンジなどで知られてはきていますが、この映画では本当に克明に病状なども描いていますね。
私がこの作品をやろうと思ったひとつには、病気についてもっと知ってもらいたいという気持ちがあったからなんです。映画というのは、新しいことを教えてくれるきっかけになり得るもの。しかも、それが会話の糸口になれば、人から人へとどんどん伝わっていく。ALSは原因も治療法もまだ何もわかっていません。まずは映画で、より多くの人が、ALSに興味を持ってもらえればと考えたの。
―とてもリアルでしたから、多くの患者さんに密に接して、役作りしたことが伺えます。
作品はフィクションではあるんだけど、実際にたくさんのALS患者さんにお会いしました。告知されてから、どんな風に進行していくのか。それぞれの患者さんから、個人的な情報や私的な思いをたくさん分けてもらったわ。彼らにとって病気はフィクションではなくリアルなもの。彼らの協力によって、実話でなくても、この作品を事実に忠実なものにすることができたと思う。
―あなたが演じる役柄はいつも世の女性たちにたくさんの勇気や力を与えてくれますが、どんな風に作品選びをしているんですか。
褒めてくださって、ありがとう。心から、うれしいわ。でも、皆さんが私の作品を観て、感じてくださることはきっと、私が原作や台本に触れた時に感じることと何ひとつ変わらないはず。私自身も、作品に触れることによって、知識を得る前と後では、まるで世界が違って見える。だから、演じる機会を与えられる、すべての役は私にとって、贈物なんです。
Text: Aki Takayama Hair: YOSHi.T for MONDO(AVGVST) Make-up: Ken Yoshimura(AVGVST)
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『サヨナラの代わりに』
余命を告げられた女性とその介護をすることになった夢に挫折した女子大生、正反対の二人が限りある時間のなかで友情を築いていく。弁護士の夫(ジョシュ・デュアメル)と充実した日々を過ごしていたケイト(ヒラリー・スワンク)は突然。難病である筋委縮側索硬化症(ALS)を発症する。一年半後、一人では動けなくなったケイトは介助の素人どころか普通の家事さえもろくにできないベック(エミー・ロッサム)を介助人に選ぶが……。2015年11月7日より公開。
http://sayonarano-kawarini.com/