エル・エディターが振り返り! 2015年のシネマ座談会
いよいよ今年からスタートする「ELLEシネマ大賞2015」。読者投票で1年のベスト映画を決めるこのアワードに先駆けて、エルのカルチャー担当エディターが2015年の映画を振り返る座談会を実施。今年の映画界のトレンドや話題作、私的ベストなどをとことん語ります!
フランス映画の当たり年!
N:今年はフランス映画もいい作品が多かったです。まず1月に、ジャン=リュック・ゴダールの3D『さらば、愛の言葉よ』がありましたけど、84歳にもかかわらず、度肝を抜く3Dの使い方があって、高揚感にあふれて美しく、まさに“事件”でした。夏にはフランソワ・オゾンの『彼は秘密の女ともだち』、秋にはオリヴィエ・アサイヤスの『アクトレス~女たちの舞台~』、12月にはアルノー・デプレシャンの『あの頃エッフェル塔の下で』、『サンローラン』など粒ぞろい。そのほか『ヴィオレット ある作家の肖像』や『EDEN/エデン』も。
S:90年代パリの音楽シーンを描いた『EDEN/エデン』は、切なさが残って、フランス映画っぽくて好きでした。
N:『アクトレス~』はジュリエット・ビノシュ、クリステン・スチュワート、クロエ・グレース・モレッツという、3人の女優の演技が素晴らしかったですね。女優を愛するアサイヤスの真骨頂的作品でした。
Ke:クリステンがビノシュ演じる大女優のアシスタントなんですけど、何をアドバイスしてもきいてもらえないっていう。
M:ビノシュ演じるマリアは、無自覚なのかもしれないけど、老いを受け入れられてないんですよね。演技がすごくリアルで、ビノシュすごいと改めて思いました。
S:若手女優を演じたクロエがただの“いい子ちゃん”じゃなくて、チヤホヤされる役なので共感はしづらいけど、うまく演じてました。
Ke:『アクトレス~』は衣装が「シャネル」なのも必見です。12月に公開される『サンローラン』は、彼がライフスタイル的に最も荒れていた時期を描いていて、まさに70年代の狂乱、みたいな。
N:この映画、個人的にはギャスパー・ウリエルが演じる狂気を孕んだサンローランに目が釘付けでした。ゾクッとするほど美しくて、優雅で、壊れそうで、毒気もある。ファッションの映画なので、モード関係者は必見の作品ですね。
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エディターN:フィーチャー・ディレクター。長年、映画を担当。今年は『マッドマックス~』『野火』『セッション』に痺れ、『サンドラの週末』『バードマン~』『Mommy/マミー』に酔い、『裁かれるは善人のみ』『アンジェリカの微笑み』に陶酔! あと『バクマン。』はラッコ11号のスピンオフを希望(笑)♪
エディターKa:カルチャー担当。今年のベスト映画は『サンドラの週末』『フレンチアルプスで起きたこと』『岸辺の旅』。ベスト海外ドラマは「アフェア 情事の行方」。すべて女性の内なる強さと、夫婦の関係性を描いていて心が痛キモ! 私は未婚ですが(笑)。
エディターKe:ファッション&カルチャー担当。今年のベスト映画は『Ex Machina(原題)』。でも、おそらく11月全米公開の『The Danish Girl(原題)』が個人的ベストを塗り替えるだろうと推測。ふたつともアリシア・ヴィキャンデルが主演で、現在彼女のにわかファン。
エディターS:“it”ボーイ&ガールの発掘に余念のないカルチャー担当。今年、いちばんキュンキュンしたのは『きっと、星のせいじゃない。』のアンセル・エルゴート。
エディターM:カルチャー担当。今年のベスト映画は『セッション』と『マッドマックス~』。スクリーンから伝わる血と汗、熱気と狂気にアドレナリンMAX!