香港映画の大スターがパリで過ごした’90年代
マギー・チャン
一方、香港出身、中華圏で大人気を誇っていたマギー・チャンは、'90年代後半にオリヴィエ・アサヤス監督と結婚し、フランスで過ごす時間が増えた。ふたりは数年で離婚してしまったが、当時のパリがいきいきと切り取られた『イルマ・ヴェップ』 ('96年)を残した。
俗に言う「グローバル化」にはよい面と悪い面、光と闇がある。時代が進むにつれその闇の部分が露わになってきたが、こうして数々のユニークな映画が国境を超えて生み出されたことは、光のほうに違いない。
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『イルマ・ヴェップ』('96)
'10年代のサイレント映画『レ・ヴァンピール 吸血ギャング団』のリメイク計画をめぐる人間模様。マギーは本人役を演じたこの作品をきっかけにオリヴィエ・アサヤス監督と結婚。
文・選: 野中モモ(ライター、翻訳家)
Photo: AFLO、GETTY IMAGES
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野中モモ
ライター、翻訳家。音楽、映画、メディア史などの分野を手がける。著書『デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター』。訳書に『バッド・フェミニスト』(ロクサーヌ・ゲイ著)、『GIRL IN A BAND キム・ゴードン自伝』ほか。自主制作出版物オンラインショップ「Lilmag」の店主を務める。 -
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