並み居るライバルをおさえオシャレ度と清潔感No.1!
オードリー・ヘプバーン
私が初めて観た洋画は『シェーン』と『ローマの休日』の二本立て。地元の映画館での、たぶん、リバイバル上映だったのだと思う。『ローマの休日』はオードリー・ヘプバーン扮する王女様がお忍びでローマの街暮らしを楽しむ(もちろんちょっとした恋愛も)という話で、当時小学生になってまもない私は、ヘプバーンのノーブルにしてキュートな魅力に目を奪われた。 「これが美人というものか!」と頭のなかに刷り込まれた。当時の大人の世界では、それ以前の美人女優には無いいっぷう変わった(ファニーな)美人と見なされていたことも知らずに。
実際、その数年後には『パリの恋人』 ('57年)というのが上映されて、その原題は“Funny Face”なのだった。正統派美人ではなくファニーな美人。それでもオードリーはその清潔感とファッションセンスのよさで、世界中の人々(おもに女の人)に愛された。オードリー出演映画はもろに「動くスタイルブック」 。オードリーが好んで着ていた「ジバンシィ」は一気に知名度を上げた。 『麗しのサブリナ』( '54年) 、 『パリの恋人』 ('57年) 、 『ティファニーで朝食を』 ('61年)は必見!
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『麗しのサブリナ』('54)
大富豪のお抱え運転手の娘、サブリナ。一家の次男に仄かな思いを寄せるが、叶わぬ恋を諦めるためパリに送られる。その後見違えるほどのレディになったサブリナと、兄弟の恋は思わぬ方向へ展開し……。『パリの恋人』と並び、“ヨーロッパで洗練される女の子"という、オードリーが得意とした変身ストーリー。
文・選:中野 翠(コラムニスト)
Photo: AFLO、GETTY IMAGES
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中野 翠
コラムニスト、エッセイスト。『サンデー毎日』に1985年から続く人気コラムをもつほか、映画評論では『週刊文春』のシネマチャートでもおなじみ。近著に、学生運動まっさかりの'60年代の青春を回想した『あのころ、早稲田で』(文藝春秋刊)がある。 -
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